優しい微笑み
「……ん?」
頭を撫でられていた真人が目を覚ます。
すると、目の前には見知った顔のはずなのに、見たことのない綺麗な微笑みを浮かべる愛歌の顔があった。
そんな愛歌が、まだ頭を撫でながら真人に喋りかける。
「おはよ。三条。手、握っててくれてありがとね。」
「お、おはよう、舞鶴。ふん、お前が目覚めないと俺としても寝覚めが悪いからな。」
「ツンデレ?」
「無いな。」
「そうだね。男のツンデレなんて、需要ないもんね。」
そう言ってクスクスと笑う愛歌。
それに少し安心する真人。
「……舞鶴、その、違和感とかはないか?」
「違和感はないけどすごい疲れたよ?それはもう、いつもの覇気がなくなるくらい。」
「そうだな。俺としては今のお前の方が会話がしやすくて楽だ。」
「あ!ひっどーい。そういうことは言っちゃダメなんだよ?」
「いつも言っているから問題は無い。今のお前の方が女っぽくて好みだ。」
「もー、そう言って茶化しても言っちゃダメなことはダメなんだからね?」
そう言って笑い合う真人と愛歌。
いつの間にか、頭を撫でる手は止まっており、その手はまた、真人の手を握っていた。
「あのね、三条。お礼、言わせてね。あんたが、私の手を握ってくれたおかげで、私はここに帰ってこれたの。だから……」
そういって、一呼吸おいて、
「ありがとう。三条。」
そう言った。
その言葉を受け取った真人は真人で、こう返すのであった。
「どういたしまして。おかえり、舞鶴。」
「ただいま!」
また、ふたりして笑い合うのであった。
その後、憔悴しきった顔の勇者達が愛歌を見て一悶着あり。
テンションの上がったメンバーたちがまた食堂でバカ騒ぎしたり。
そんなこんなで、疲れきった勇者達はまた、泥のように眠るのであった。
「お話を聞いていただけることを感謝します。“勇者様”」
「で、話ってなんです?フェデルクさん。」
そう言ってフェデルクに問う少年、飯田直也。
言わずもがな、勇者のひとりである。
「では、単刀直入に申し上げます。」
そう言って、夜の闇の中、目を光らせるフェデルク。
「望月美冬を、私のモノにするために協力していただけませんか?」
そんなことを言い出した。




