光線弾について
「ふぅ……。あ、そういえば、二宮君、最後のは何だったんですか?」
「あれは春輝の作った魔法の応用みたいなもんだ。」
「春輝君が……作った?」
「ん?知らないか?」
「えぇ。」
「うん。おれもしらないよ?」
「そうか、ちょっと待ってろ……。よし、[光線]」
そう言って、目の前に光の玉を出す真人。
その玉を見つめる美冬と千秋。
「春輝が規格外の魔力に無理を言わせてつくりあげた魔法だ。[光線]という。
一撃の威力は確かに高いし、使い勝手もいいと言えばいいんだが、魔力消費が激しすぎてな。これひとつ作るだけでもこの迷宮でレベルを一気に上げた今の俺の魔力値ですら割とギリギリだ。魔導の力無しでは絶対不可能。
ギリギリじゃないと使うタイミングはないな。」
「へー。それを真人さん流にアレンジしたのがさっきの魔法ってこと?」
「アレンジというより劣化だ。どうにも俺にはあいつみたいに即座に作り出すイメージも、打ち出すイメージもよく分からくてな。そのせいで随分と時間はかかるし単品では打てないからプロト・クーゲルで代用しているというわけだ。」
「そんなすごい魔法を作り出していたんですね!春輝君!」
「でも、いつの間に?」
「実は、朝の散歩をしていたら執事っぽいじーさんと戦ってるのが見えてな。その時にこの魔法を打ってた。」
「真人さんはそれを真似したの?」
「ああ。使えそうだと思ってな。今度帰ったら凰雅に専用道具を作ってもらうか迷っているくらいだ。」
「あー、いいなー。俺も新しい武器欲しい。」
「お前には[想いの剣]があるだろう?」
「この先を攻略するならこれだけじゃ、きついと思うんだよね……。予備としてももう1本新しいのを作ってもらう予定。」
「この先はこのくらいの強さのやつがたくさんいるだろうな……。」
「正直、辛いですね。これ以上先はまだ私たちには早い感じがします……。」
「そうだな。よし、帰ろうか。」
その真人の声に従って、出口へつながる転移魔法陣へ歩き出す勇者達。
みんな、確かに疲れきってはいたものの、自分達が挙げた戦果に誰もが満足しきった顔をしていた。