真人は快楽を求めて迷宮へ潜る
迷宮探索4日目になって、オリガがこんなことを言いだした。
「正直、今のお前達と俺達では戦力差に差が出てきてしまっている。だから、ここから先は勇者と騎士に分かれて行動しようと思う。良いだろうか?」
「ふむ……?つまり我々に行けるところまでいけ、と?」
そう応答する真人。
「ああ。お前達の実力で、どこまで行けるか見てみたい。だが、無理はするなよ。ダメそうならすぐに引き返すのが約束だ。」
「分かっている。俺達も死にたがりなわけではない。ヤバそうなら逃げるさ。」
そんなこんなで、勇者組の地獄のような日々が幕を開けた。
それから3日。勇者達は生きる屍と化していた。
「ねぇ……真人さん?どこまで降りる気なの?」
「ん?もちろん行けるところまで、だが?」
「……今、23階層だよ?そろそろみんなの体力的にもきつそうだし、入ってから何日たってるかちゃんと把握してる?」
「ん?もちろんだとも。入って3日。食糧的にもそろそろ限界が近づいていることも把握してるさ。で、それがどうした?」
「どうした?じゃないよ!帰ろうよ!ねぇ!帰らないの!?」
「もちろん帰るつもりさ。25回層のボスさえ倒せれば。」
「……それ、20階層のときも言ってたよ?」
「ん?そうか?だが、まだ満足できてないからな。」
「……これで?」
「これでだ。」
頷く真人に盛大なため息を吐いた千秋。
勇者達は半分以上が満身創痍の中、ひたすら迷宮を突き進むのであった。
そして更に6時間と少しの時間が経ち。
真人たちは、ようやく25階層にたどり着いた。
「よし、みんな。ここが正念場だよ。頑張ろう。」
「お前ら、これで終わりだ。さあ、行こう。」
そう言って先陣を着る真人と千秋についていく勇者達。
傍から見ればその光景は、さながら死地へ赴くボロボロの戦士のように見えるのだろう。
しかし、その勇者達の目には、やる気の炎が灯っていた。
25階層のボスは、ミノタウロスであった。
王道といえば王道なのだが、そのミノタウロスは明らかに今までの魔物と実力が違うことが、はっきり分かった。
纏う空気の力強さに、気圧されそうになりつつも、勇者達は武器を向ける。
そうして、戦いが始まった。
いつも通り、前衛のメンバーが前に出てひたすら剣で相手の注意をひきつけている間に、魔法を打ち込むスタイルで行こうとした。
しかし、それは叶わなかった。なぜなら、あまりにミノタウロスの体は硬かったからだ。
剣は一切通らず、ミノタウロスの腕の一振りで吹っ飛ばされる前衛。
それに驚きつつ、後衛も攻撃を開始するも、その攻撃は全く通らない。
それに愕然とした一同に、ミノタウロスが近づき、拳を振りおろす。
それを避けつつ攻撃を加えるも、一切効かないことに唇を噛む勇者達。
「真人さん、あれ、勝てる?」
「きついかも知れん……。土壇場だが、“アレ”を試そうと思う。いいか?」
「了解!みんな、敵の注意を引きつけつつ後退!真人さんが一撃ぶっぱなすよ!」
その声に反応して、勇者達が動き出す。
その動きに機敏に反応するミノタウロス。
それをありがたく思いつつ真人が準備を始める。
「イメージ……。イメージするんだ……。よし、行けるぞ!」
その言葉で全員が後退する。
そのせいで、真人の方へミノタウロスが近づいてくるが、既に真人の銃口には、光が集まっていた。
「チッ!間に合わない!だれか、援護を頼む!」
「任されました!」
そう言って、ミノタウロスに一番近かった美冬が、身体強化を全力で行使し、ミノタウロスの顔に蹴りを入れる。
驚愕の表情に染まるミノタウロス。
そして、一同も驚愕の表情に染まった。
美冬の頭に生えていたモノに、全員が唖然とした。
そして、ミノタウロスに出来たそのスキを見逃さず、真人は引き金を引いた。
「光線弾!」
光が、あたり一面を覆いつくした。
レーザーってなんか、ロマンですよね!
プロト・クーゲルには本来レーザーを放つ機能はありませんが、真人さんが無理やり銃口に集まるように魔導を使ったわけです。それを、プロト・クーゲルが魔力弾で打ち出したと。
今回の話を書く時に聞いていた曲は、LiSAさんの「träumerei」です。テンポが良くて、LiSAさんの曲の中では一番好きだったりします。
作者は、音楽を聞くのが大好きなので、読者様にコメント欄で曲を教えてもらえたら、それだけで幸せすぎて死にかけます。そして、甘すぎるシーンを沢山書きます。
さて、今回はこの辺で。また次回です♪




