59/126
出発 part1
「それじゃあ、行ってきます!」
そう言って、左手の人差指に銀色の指輪をはめた美冬が馬車の方へ走る。
「行ってらっしゃい。」
穏やかな口調で言う春輝。
その目はとても優しい目をしていて、その横顔を見る人全てに自分の母親を連想させた。
そうして、美冬たちを乗せた馬車は、ゆっくりと迷宮へ向かい始めた。
それをジッと遠くから見つめている者がいた。
その者はその光景を見て呟いた。
「早くゼルジオン様に知らせねば……。」
そう言って、その者は念話魔法を起動させた。
同時刻 魔王の城にて。
連絡を受けたゼルジオンが、玉座に座る小柄な少女に報告を始める。
「魔王様。勇者達が迷宮へ向かったとの報告が。」
「そうか。強くなるのが楽しみだな。」
「魔王様……。自分を討伐しに来る相手を強くしてどうするのですか。」
「強い者を叩き潰すことこそが楽しいのではないか!弱い者を踏みにじっても仕方があるまい!」
そう言って、偉そうにふんぞり返る少女をゼルジオンはため息を吐きながらも内心では喜んでいた。
さて、次回からは迷宮組の視点となります。
ようやく愛歌さんや千秋くんがメインで書けますね!
そこ!出番のないキャラ救済とかいわない!




