厨房にて
春輝が厨房に行くと、既に何人かシェフらしき人がおそらく勇者達の昼食の準備をしていた。
どうにも忙しそうでどう声をかけるべきか悩んでいると、シェフの中でも一番ガタイのいい30代後半くらいの見た目の男が、入口の前で立っている春輝に気づき、声をかけた。
「ん?お前さん、見たところ勇者だな。どうした?なんかようか?」
「えーっと、ここって、俺も使わせてもらって構いませんか?」
「構わんが……、何故だ?」
「あ、自己紹介が遅れました。俺の名前は東雲春輝っていいます。一応勇者ですが、今の本業は第三王女であるリオネス様の執事をさせてもらっています。それで、お嬢様のご昼食を作らせて貰いたいんですけど……。」
「ん?リオネス様の?リオネス様の所の飯の担当はミーシャじゃなかったか?」
「ええ。ですが、俺が入ったんで変わってもらったんです。」
「ほー。てことはお前さん、相当料理ができるのか……。よし、やって見せろ。腕次第ではうちの食材をいくらでも使っていい権限をやる。」
「え、本当ですか?じゃあ、やらしてもらいますね。」
そういって、厨房に入る春輝。
そんな春輝を興味津々そうに眺めるシェフ達。
「うーん、料理に関しては決まってるけど材料があるか……?
すいません!冷蔵庫を見せてもらっていいですか?」
「ああ。いいぞ。」
そういって、冷蔵庫を開けてくれるおじさん。
中に入ってるものをみて、目を輝かせる春輝。
「何これ!?すごい美味しそう!この鶏肉、使わせてもらってもいいですか?」
「ああ。それは今のところは使う予定がなかったからな。構わんぞ。」
「じゃあ後はたまねぎと卵もありますか?」
「卵はここだ。玉ねぎは……、あった、ここだ。」
そう言って全部取り出してくれる親切なおじさん。
それに感謝しながら食材を受け取り、春輝は突如、何も無かった空間から物を沢山取り出す。
「えーと、砂糖、みりん、醤油にほんだし。あとはフライパンと鍋とエプロンと丼ぶりでいいかな。」
そういって、色々な物が何も無いところからたくさん出てくる光景にシェフ達が驚く。
それに気づかないまま春輝は料理を始め、あっという間に料理を終える。
丼ぶりによそったそれをお盆に載せ、春輝はシェフの人たちに頭を下げ、
「ありがとうございました。良かったらそれ、食べてください。」
と、言ってお盆を持ってリオネスの部屋に向かう。
その光景を呆然と眺めるシェフ達。
そしてそこには、春輝が1つ多めに作った「親子丼」があった。
作者「前回のあとがき書くの忘れてた(´・ω・`)」
春輝「まあ、別にお前の後書きを楽しみにしてる人なんていないだろうしいいだろ。」
作者「そ、そんなことないし!ないと信じるし!」
春輝「……多分読者の皆様もほとんど無視して読んでると思うぞ。一話抜けたところで変わりはしないだろ。」
作者「……(´・ω・`)」