そうして終わった日常
2016年 5月21日 8時29分 日本の某高校にて
もうすぐ8時30分になろうとしていた。
朝礼が始まるため、みんなが席に少しずつ戻っていく。
春輝の周りに集まっていた、凰雅、愛歌、穏乃も、
「また後でね~」
と、言いながら戻っていく。
そして、隣のクラスの先生が教室に入った音が聞こえ、春輝は未だに千秋が着ていないことに気づいた。
(……あいつ、まさかとは思うけど…)
と、思っていたら、千秋が息を切らしながら、走り込んできた。
「はぁ!はぁ!……セー……フ?だよね?よっしゃぁ!」
千秋が一人で喜ぶ風景を、クラスメイトたちは哀れむように眺めていた。なぜなら、そこに1人殺気を出している人物がいたからである。
「……なぁ?弟よ。お前が起きた時間なら余程のことがない限りこんなギリギリにはならないはずなんだが?まさかとは思うが……」
「そのまさかだよ!ハル兄が起こしてくれないから、アニメ2本視聴できなかったじゃん!昨日は「プリズマ☆サクラ」に加えて、「アイプロ!」まであったんだよ!?なんでちゃんと起こしたくれなかったの?そのせいで「プリズマ☆サクラ」しか見れなかったじゃん!……ねぇ、ハル兄、その握りしめてる拳はどうするの?ね、ねぇ?ハル兄?」
「…言いたい事はそれだけか……?」
「……ええっと、その…先に「プリズマ☆サクラ」見てごめプギャラッ!?」
春輝の拳が千秋の頬にめりこみ、まるで漫画のように空中で綺麗に三回転しつつ吹っ飛ばされる千秋。
……周りの生徒は割と見慣れた光景のため、誰も千秋に声をかけようとはしなかった。誰の目から見ても千秋が悪いのは明らかだったし、春輝たちの家のことを知ってる人間ならいいぞもっとやれと思ったはずだ。
さて、彼、今は床で痙攣している東雲千秋であるが、彼はバカだが天才だった。成績は優秀、容姿は端麗、性格はここからは想像出来ないかもしれないが正義感が強く、強きをくじき、弱きを助けるという言葉が一番似合う好青年である。但し、とてつもなく天然ではあるが。
紹介し忘れたが、この物語の主人公である、東雲春輝についてだが、彼も容姿はそこそこではあるが、彼の場合かっこいいというより中性的でかわいいと言った方が似合う様な容姿である。成績は平凡。少し言葉使いが悪いが、面倒見がよく、そのおかげか彼の周りには人が絶えない。
ようやく千秋が床で伏せてるところから起き上がってきたところで、予鈴のチャイムがなった。
生徒達は、先生が来るのが遅いことを不思議に思い、周りの人と話していた……
2016年 5月21日 8時30分 イルセ王国の王城にて
「目標座標……固定……完了!召喚魔法!起動!」
宮廷魔術師たちが叫ぶ。
2016年 5月21日 8時30分 日本の某高校にて
「……ん?なんだこれ?」
最初にそれに気づいた生徒は誰だっただろうか。
急に地面が光始め、魔法陣のような線が描かれていたことに気づいた時には……
2016年 5月21日 8時30分59秒 日本の某高校にて
1年2組の生徒が、跡形もなく「消え去った」。
序章終了のお知らせでございます。