採寸
「ハルキ殿、少しいいですか?」
お嬢様との訓練を終え、休憩している春輝にジルが声をかける。
「はい、何でしょうか、ジルさん。」
「もうこの際だから聞いてしまいます。お嬢様にこのあとも仕える気はありますか?」
「えぇ。もちろんです。断る理由もありませんし、お嬢様ほど良い主は他にいないと理解しておりますから。」
「それを聞いて安心しました。そこで、せっかくなので体の採寸と仕事決めをしませんか?」
「……仕事決めはわかりますが、何故に採寸?」
「執事服の為ですよ。」
「あ〜、なるほど。じゃあ、お願いできますか?」
「かしこまりました。では、ひとまず執務室まで戻りましょうか。」
というわけで、第3執務室まで戻ってきた一行。
先に採寸をしてしまおうという事で、女性陣にはリオネスの部屋にいてもらおうと思っていたのだが、どうしてもリオネスが「ハルキの体がどんなものか見てみたい」と言い張るので、なぜか女性陣も同伴でする事になった。
「じゃあ、とりあえず服を脱いだらいいんですよね?」
「えぇ。お願いします。」
そうして、春輝は制服を脱ぎ、下着姿になる。
「シャツも脱いでもらえますか?」
ジルにそう言われ、シャツも脱ぐ春輝。
あらわになった、鍛えているためすこし筋肉質ながら綺麗な春輝の上半身をまじまじと見つめるミーシャとリオネス。
見られて恥ずかしくなったのか、春輝が顔を赤くしながら、
「なんで二人ともそんな見るんですか!」
と、二人に叫ぶ。
すると2人は、
「男性の肉体でここまで綺麗なのを見るのは生まれて初めてだからな。なぜか見蕩れてしまったのだよ。」
「顔は女っぽいから体も女っぽいのかなと思ってたけど、思ったより男の子っぽくってビックリして……。」
と言い返す。
そう言われて春輝はため息を吐きながらジルにメジャーで大人しく採寸される。
「はい。終わりましたよ。……二人とも、そろそろ見つめるのをやめてあげてください。」
「べ、別に見つめてなんかない!」
「いやだがしかしな、先程も言ったがここまでよく出来た肉体を見たのは初めてでな……。」
そう言って目をそらす二人。
春輝が着替え終わった後、春輝の仕事を決めることとなった。
「う〜ん、ハルキってなにか得意なこととかある?」
「え?……強いていうなら料理は好きだぞ。掃除もそれなりにはできるが、お前ほどじゃないな。」
「なら掃除担当は私。お嬢様の全体的なお世話はジル、食事はハルキにする?」
「お嬢様がいいなら構わないよ。」
「私も、ハルキ殿と同じく。」
「私は構わんぞ。」
「じゃ、決まりね。ハルキがどのくらい出来るか、今から見せてもらおうじゃないの。」
「わかりました。絶対美味しいって言わせてあげますから、覚悟しておいて下さいね。」
「ああ、楽しみにしておくぞ、ハルキ。」
そうして、昼食を作りに厨房に行く春輝であった。




