反省
「本当に、すいません!」
春輝が宮廷魔術師長であるラルトクスに頭を下げる。
ラルトクスは、苦笑いしながら、「頭を上げてください。」という。
問題を起こした張本人である真人と凰雅は、
「俺は悪くない。脆かった壁が悪い。」
「我も悪くない。壊れた壁が悪い。」
と、言い放つ。春輝は呆れながら、真人と凰雅に、
「お前ら……。反省くらいしろよ……。」
と、反省を促すも2人は全く気にしていない。
「仕方ありませんよ。勇者様ですから。」
「本当、すいません……。」
春輝が謝っていると、凰雅が壊れた壁に近寄り、
「直してしまっても構わんのだろう?」
と言って、「[修理]」と呟くと、壊れた壁が即座に直った。
その修復の速さに宮廷魔術師達が目を丸くしていると、春輝が口を開く。
「そういう問題じゃないだろ……。せめて、謝罪の気持ちも込めて壁を強くしたらどうだ?」
「それもそうだな。ハル、何か良い素材になりそうなものは持っていないか?」
「ん?あ〜。確認してみるわ。[無限収納]……。ん〜、あるにはあるけどあとあといりそうだからな……。」
「そうか……。では、壁の強度を高めるだけにしておくか。」
そう言って、凰雅は「[材質変換]、[補強]」とつぶやくと、壁が薄くなった。
「薄いが、衝撃に強くしておいた。これなら、今のプロト・クーゲルくらいなら問題ないと思う。」
「ふむ。試してみるか。」
「やめろ……。また壊したらたどうするんだよ……。」
「また直せば良いだろう?」
「二度手間じゃないか……。今度来るときに素材を持ってこよう。それで、ちゃんと補強する。それでいいな?」
「はぁ……。仕方ない。これを打つのはもう少し我慢しよう。」
「その時は絶対に壊れない素材を持ってこよう。」
「それでいいですか?ラルトクスさん。」
「あ、ああ。やってくれるならありがたい。」
そういって、口元で「勇者とはここまで強いのか……?」
と呟くラルトクスであった。
凰雅君の使った魔法は
[制作]
[材質変換]
[補強]
[修理]です。
制作は文字通り物を作る基本的なスキル。
手元で即座に作れるのは凰雅くらいなんですが……。
材質変換は、材質を別の材質に変えれるスキル。しかし、その際上位の素材にする場合は少し容量が減ります。壁が薄くなったのもその為です。
補強は、物を壊れにくくするスキル。人に対して使うことは出来ませんが、武器を折れづらくしたりできるので意外と戦闘に使えるかもしれないスキルです。
修理は、壊れた物を直すスキルです。その際、元に戻すのではなく、本人のイメージで限りなく近い状態に作り替えるだけなので、完全に元通りな訳では無いです。
……凰雅君が戦闘するかは分かりませんが。