図書館にて
「ハルキ、図書館へ行くぞ!」
昼食が終わり、お嬢様の部屋に戻った春輝は、昼食をモグモグと食べているお嬢様にそう言われた。
ちなみに、ミーシャはまだ寝ているそうだ。
少し悪いことをしたかなと思う春輝であったが、あちらから吹っかけてきたのだから仕方ないなと割り切るのであった。
それはさておき、リオネスの午後の仕事は勉強であった。
王城内の図書館で勉強するそうで、連いてこいと言ってきたわけだ。当然、それに対し春輝は、
「了解しました。お嬢様。」
と答えるのであった。
リオネスが昼食を食べ終わると、春輝、ジル、そしてリオネスは、図書館へと真っ直ぐむかった。
その途中、リオネスはミーシャの過去について話してくれた。
ミーシャは昔、孤児だったのである。王城の近くの森で捨てられていた所を、リオネスの母である、フィーネさんという人に拾われたそうだ。それ以来、フィーネさんはミーシャとリオネスをまるで姉妹のように扱ったそうだ。
だから、ミーシャはリオネスにとって姉のようなものらしいのだが、ある1件以来、ミーシャはリオネスの事をお嬢様としか呼ばなくなったそうだ。
その1件を聞く前に図書館についてしまったため、話はそこで終わりになった。
図書館でリオネスをジルが教えている間、春輝はいろいろな本を読んだ。
この世界の常識や魔法、そして伝説について。
それを読んでいる途中、チラチラと目に映るリオネスの髪の毛をかきあげる仕草や、本のページをめくる綺麗な手を見つめていたのはジルと春輝だけの秘密にしておくことにした。
図書館から帰ってきて、部屋に戻ってきたリオネスが口を開いた。
「ふぅ。今日も1日頑張った。ハルキの方はどうだ?」
「俺の方も、随分とこの世界の常識について分かりました。」
「……ハルキ殿。一人称。」
「あ、すいません。」
「よいよい、楽な方で構わんよ。身内だけの時はな。」
「え?いいんですか?」
「いつまでも堅苦しい態度で話されては私がやりづらいのだよ。」
「そうですか。じゃあ、これからは一人称は俺にさせてもらいますね。」
「うむ。そうしてくれ。」
そういって、リオネスは笑うのであった。