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執事流異世界物語  作者: 一兄@茄子推し
序章 始まり
2/126

まだ続く日常

2016年 5月21日


春輝が通学路を歩いていると、後ろからドスドスという足音と共に、男性にしては少し高い声で、


「お~い!ハルぅ~!」


という声が聞こえた。

振り向くと、大きな熊のような人物が手を振って走ってきていたので、咄嗟に全力で走ろうかと思ったが、すぐに相手の顔が見えたので、ため息をつきつつ、


「はぁ…、おはよう、凰雅。」


と返事を返すと、


「うむ!おはよう!ハル!」


と、少し格好をつけた声で先ほどの熊のような人物が返事をしてくれた。

彼の名前は二宮凰雅(にのみやおうが)。良く言えばガタイのいい、悪く言えば少し太った、熊という動物が一番似合う、ちょっと茶色がかった髪の眼鏡をかけたおっさ……少年だ。


「ところでハル、この周辺で異常な波動の高まりを感じたのだが、貴様は何か知らんか?」


……彼は、まあ、名前が格好いいからか、育った環境からか、ちょっと中二病をこじらせており、周りからもそういうキャラとして通っている。


「……あのな、俺はそんな異常な波動とか、感じれないから。というか、お前そんな事言ってると、また女子から「二宮君ってさ、ちょっと近寄って欲しくないよね」って陰口言われるぞ……?」


と春輝が答えると、凰雅は大袈裟によろめきながら、


「言うな!それは聞いて結構傷ついたから!マジで入学一週間にして不登校になりかけたから!」


と、返事をした。その後、咳払いをして、


「んんっ!……して、春輝よ。昨晩の「プリズマ☆サクラ」はちゃんと見たか?昨日の回はなかなかの神回だったぞ?」


と、話を変えた。春輝も、これ以上言うのも少し凰雅が可哀想なので、乗ることにした。


「ん?「プリズマ☆サクラ」か?ちゃんと録画はしておいたぞ。朝見る予定だったんだが、ちょっと洗濯に手間取ってな。」


「そうかそうか。この場でネタバレして春輝を苛めるのも一興だが、まあそれは止めといてやろう。

……そういえば、弟殿はどうしたのだ?今日は一緒ではないのか?」


「弟は眠いそうなので、とりあえず放置しておいたら涙目で起きてきたんだよ。あいつなら何だかんだ遅刻せずに来ると思ったから放ってきた。」


「そうかそうか。今日は我が週に1度、光り輝く日だからな!是非とも、千秋にも見て欲しかったのだよ!」


「どうしてお前は美術の授業がそんなに好きなの?なんなの?ヤスリで磨かれたいの?」


と、会話をしていると校門前についたので、先生に挨拶をし、どうでもいい話をしながら、クラスへ行き、いつも通りの日常を迎える春輝と凰雅だった。






2016年 5月21日 8時3分頃

自分達のクラスである1年2組のクラスに入ると、10人程度が談笑しており、みんな、


「お~。春輝、中二、おはよ~。」

「東雲君、おはよー。中二病もついでにおはよー。千秋は?」

「おお、東雲、おはよう。二宮もおはよう。」


と挨拶をしてくれた。春輝も凰雅も、


「おう、おはよう。千秋は寝坊だ。」

「うむ。皆の衆、おはよう!ところで、我への扱いはいつになったら改善されるのだ?」


と、返事をしつつ、自分の席についた。そして春輝は、隣の席で寝かかっている青年に、


「真人もおはよう。また夜遅くまでFPSしてたのか?」


と、苦笑いしながら声をかけた。

声をかけられた青年、三条真人(さんじょうまなと)は寝ぼけ眼を擦りながら眼鏡をかけ、


「おはよう、春輝。そうだ。少し昨日は熱中しすぎてしまってな……」


と、返事をした。

彼、三条真人は眼鏡をかけたクールな美青年だ。女子からの人気も熱い。しかし、彼曰く、休日は全てFPSのために有るらしく、彼女なんて作る暇があればFPS!という事らしい。

彼の家に春輝達兄弟が最初にお邪魔した時、彼の部屋に飾られていた銃を千秋が壊した時の真人の表情を、春輝は未だに忘れられない。

そこに、凰雅がやって来て、


「おはよう!三条殿!今日も寝不足なのだな!!身体を壊さないように気をつけるべきだぞ!」


と、いつもの同じような注意をした。それに対し、真人は、


「余計なお世話だ、二宮。俺は夜行性だから問題ない。」


と、返した。凰雅は、真人に余計なお世話と言われたため、しょんぼりしながらも、


「そうか……。しかし本当に気をつけられよ。近頃は異常な波動を感じる。」


と、中二発言をしつつも、心配をしていた。

実はこういうところが、凰雅がクラスからはぶられたりしない理由でもある。中二病ではあるが、彼はとても優しいのである。

それに対し、真人も、


「まぁ、気をつけておこう。」


と、返していた。

春輝もこのふたりのやり取りを見ながら、いつも通りの日常だな……と、嬉しく思っていた。

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