春輝 VS 少年
春輝と少年の剣戟は続く。
長らく続くそのやり取りを、見守るしかできない三人。
次第に、春輝は劣勢になっていく。
それは少年の技術の高さゆえだろう。
(こいつ……!サラと同じタイプか……!)
奥歯を噛み締めながら、刀を振るう春輝。
徐々に鋭さを増していく少年の斬撃によって、少しずつ春輝の体に傷がつき始める。
「……美冬!サラ!なぜ手助けに行かない!お前達なら援護くらいならできるだろう!」
リオネスがサラと美冬を責める。
美冬は俯き、拳を握りしめ、サラは静かに口を開く。
「邪魔になるだけよ。あたしたちじゃ、まだ……足でまといなのよ。」
「……それでも!」
リオネスがしつこく食らいつく。
そんなリオネスを睨みつけ、サラは怒鳴る。
「あたしだって助けたいわよ!美冬だってそうでしょう!」
「……ええ。」
話を振られた美冬が頷いた。
「ねぇねぇ。あの子達、揉めてるけど、いいの?」
少年が剣戟の合間に春輝に話しかける。
「はぁ……!はぁ……!!あの、三人なら!大丈夫だよっ!……っとお!あぶねぇな!」
「ふーん、そっか……。」
少年の笑みが、どこかいやらしいモノに変わる。
「あの子達、貰ってもいい?」
その言葉に、春輝の中の何かが切れた。
「……は?」
春輝自身も驚くほど冷たい声音で声が出た。
少年が、ぞくりと震え上がる。
生まれて初めて感じたその感覚に、またニヤリと笑みを深くした。
「ふふふ、早く勝たないと僕が貰っちゃうよ?」
そう笑う少年を睨みつけ、春輝は心の中で覚悟を決めた。
「……なあ、お前。聞いてなかったけど、なんて名前なんだ?」
春輝は、少年に問う。
その質問に、笑いながら少年は答える。
「僕の名前はレンゲだよ。なんでそんなこと聞くの?」
「……レンゲ、お前に教えてやるよ。」
春輝はニヤリと目の前の少年と同じように口元を歪め、刀を構えた。
「人の底力ってやつを。」
春輝の周りに漂っていた白い光が、“黒”にそまった。




