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執事流異世界物語  作者: 一兄@茄子推し
2章 ~迷宮踏破!~
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二人の距離は

真人達が再び迷宮へ潜り込んだ頃。

千秋はまた、影と戦っていた。

影との激しい攻防に、滝のように汗を流しながら“紅桜”を振るい続ける。


「はぁ、はぁ……!アリスさぁん!そろそろ限界なんですけども!!」


肩で息をしつつ、迫り来る“想いの剣”に“紅桜”をぶつけて斬撃を受け止める千秋。

そんな千秋に、アリスは椅子に座り紅茶を優雅に飲みながら答える。


「……大口叩いた割に、大したことないのね。……がっかりよ。」


「……言ってくれるじゃないですかぁ!やりますよ!やればいいんでしょ!?」


アリスの煽りにのせられて、また力を振り絞りつつ“二体の”影に立ち向かう。

必死に刀を振り続ける千秋を見つめながら、アリスはぼんやりと考える。


(私は……どう思ってるの?千秋(あいつ)を。私の身勝手な願いに付き合ってくれる千秋(あいつ)のことを。)


そう考え、頭を振るアリス。


(……何を考えているのかしら、私は。そんなこと、どうだっていいじゃない。千秋は道具。それでいい。)


そう自分に言い聞かせると、何だか少し楽になった気がした。










「せいやぁ!」


掛け声とともに、千秋の斬撃が二体の影を両断する。

そして肩で息をしつつ、アリスの方を向いて笑う。

その笑顔に、少し自分の胸の鼓動が早くなるのを感じたが、表情には出さずにアリスは千秋に声をかける。


「……お疲れ様。……汗臭いから、早く体を吹いて。」


「えっ!?俺、汗臭いの!?」


驚きながら自分の体を嗅ぎはじめる千秋。

そんな千秋の耳に、思わず耳を疑う音が聞こえた。


「……ふふっ。ふふふ。」


そう、アリスが。

“笑っていたのだ”。

笑うアリスを、呆然と見つめる千秋。

その視線に気がついたアリスが、また無表情に戻って千秋に質問する。


「……どうしたの?」


「な、何でもないデス……。」


アリスの顔をボーッと見つめていた千秋がハッとして頬を染めながら答えた。

そんな千秋の態度に「……変なの。」と呟きながら、家に入っていくアリス。

庭に取り残された千秋は、寝転がって呟いた。


「……あんなの、反則だよ。」


二人の距離が、少し近づいた。

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