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執事流異世界物語  作者: 一兄@茄子推し
2章 ~迷宮踏破!~
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神様の言葉

「……あ〜。癒される〜。」


春輝は、一人で使うには大きすぎる湯船に身体を浮かべ、そんな声を漏らす。

疲れをほぐされ、少しずつ意識が薄くなっていく。

いつのまにか、彼の意識は途絶えた。










「……あれ?」


春輝が目を覚ますと、目の前は白一色だった。

一切の汚れすら見つからず、どこまでこの空間が続いているのかも把握できない世界。

その光景に呆然とする春輝の目の前に、青白い鬼火のような物が出現する。


「やぁ、久しぶりだね。わかるかな?ボクのこと。」


そんな声が春輝の頭に響く。


「……あぁ。久しぶりだな。自称神様。」


春輝はそう言って、自称神様と呼んだ鬼火のような物に笑いかけた。










「で、何の用だ?」


「用件が無ければ呼んじゃいけないのかい?」


春輝の問いに、愉快そうな声で返す神様。


「時間があるわけじゃないんでな。用件、早く言ってくれ。」


「え〜。ボクの世間話くらい、付き合ってよ。」


「今日はもう疲れた。早くベッドに入って寝たい。」


春輝が素直にそういうと、神様は笑い声を上げる。

ひとしきり笑い終えると、神様の纏う雰囲気が変わった。


「なら、単刀直入に言おう。……東雲春輝君。君の黒い魔力は、金輪際使用禁止だ。」


「……理由を教えてくれるか?」


「……君だってあの魔力の危険性は分かっているんだろう?」


神様が聞き返すと、春輝は素直に頷く。


「……ああ。あの魔力はヤバイ代物だ。片腕だけなのに、意識を奪われそうになった。……あの魔力は、なんだ?」


「……君のもう一つの力が存在するために、必要なものだよ。

春輝君、君は、美冬君のことを、殺せるかい?」


唐突に、そんなことを問う神様。


「……は?殺せるわけがないだろ?」


当然のように、春輝はそう返す。

その回答に満足したのか、ウンウンと言いながら、神様は言葉を続ける。


「あの力を使えば、君は美冬君を殺すことになる。いや、君を愛する人、君が愛する人を全員殺すことになる。」


告げられた言葉に、春輝は動揺する。


「……あの力は、何なんだ?」


震えまじりに春輝が聞き返す。


「その質問には、こちらも答えられない。だけど、これだけは言える。

その力は君が扱うべき力じゃない。君には、もう一つの可能性がある。……ボクは、そっちを選択して欲しい。例え、その力が黒い魔力よりも弱かったとしても。」


神様はそう言うと、前までのにこやかな雰囲気に戻る。


「さ、そろそろ時間だよ。……春輝君、欲望に負けないで欲しい。身の丈に合わない力は、自分の身を滅ぼすだけだから。」


「……わかった。黒い魔力は金輪際使わない。約束しよう。」


春輝がそう言うと、ホッとしたように息をつき、神様は微笑んだ……ような気がした。


「約束だよ、春輝君。ボクは、キミに期待してるんだから。」


その言葉を最後に、春輝の意識は現実に引き戻された。

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