迷宮踏破開始
というわけで迷宮攻略1日目。
早速、30階層まで一気に降りる事になった。
「……んー。もうちょい苦戦してもいいと思うんだけど、ここではまだまだ余力ある感じだね。」
「そうですね。今回は何階層までいけますかね?」
「迷宮って何階層あったっけ?」
「不明です。最後まで到達された方はいないそうですよ。」
「そっかー。最低でも50階層までは行きたいなー。」
そう言いつつ、黒い刀を魔物に振り下ろす春輝。
その行動に勇者達は頬を引き攣らせながら笑う。
現在、29階層。
春輝達にとっては余裕があるようだ。リオネス達は少々余裕が無いようだが。
そして、30階層の手前で止まる勇者達。
真人が全員に声をかける。
「さて、30階層の2頭の龍なんだが……。俺達は一度倒したし、今回は春輝達にやってもらうが、構わないか?」
そう真人が問うと、
「俺1人でも余裕だと思うけど。」
と春輝が返す。
その言葉に苦笑しつつ、出発する勇者達。
そこからは一瞬だった。
サラと戦った時と同じように白い光に身を包み、二頭の龍を一方的に切り刻む春輝。
みんなで攻略するはずが、そんな暇すらなく一瞬で終わる。
圧勝というよりも、瞬殺という言葉が似合っていた。
そして、戦闘を終えた春輝が一言、
「あれ……。こんなもんなの?」
と、つぶやく。
周りは絶句。さすがのいつものメンバーも唖然。
唯一サラだけが、「あたしのご主人様なんだし、このくらい出来て当然よね!」と偉そうに頷いていた。
そんなわけで。
春輝は、刀を使うことを禁止されたのだった。