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執事流異世界物語  作者: 一兄@茄子推し
1章~執事道は意外とハード?~
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王様の謝罪

昼食後、勇者一行は宮廷魔術師に合うことになった。

そこで、勇者達は宮廷魔術師の皆さんにいろいろと質問詰めにされた。

宮廷魔術師のような、研究職からしたら、勇者の能力は、飛びつきたいほど魅力的な研究テーマなのである。

それに対して勇者達は、苦笑いしながら「まだ使ったことがないので分かりません。使えるようになったら報告に来ますね。」と答えるのであった。


そんなやり取りがあった後、勇者一行は国王に呼び出されたため、もう一度召喚の儀式が行われた、[王の間]にいくのであった。


正直な話をすると、勇者一行の国王に対する好感度は最悪と言っていい。

急に呼びたされた上、こちらの許可もなく勝手に戦争に駆り出されることになれば、現代日本に生きる生徒達なら普通は怒りを覚えて当然だ。

そこから、さらに奴隷にしてでも従わせると言われたのだから、尚更であろう。

しかし、国王の命令に従わない理由にも行かず、仕方なく開けた[王の間]の扉の向こうに広がっていた風景は、相変わらずの豪華な装飾のされた広い部屋にポツリと佇む……、




土下座した王の姿であった。




メイド長は絶句していた。

あの、いつも偉そうな態度で命令してくるプライドの高い国王が、土下座をしたというのは、彼女が6年、メイド長として王城に使えてきて、初めて見る光景であったからだ。

それほどまでに、彼は勇者達に申し訳なさを感じていたのであろう。考えてみれば、あの状況で送り返せとは誰も言えなかったはずだ。だからこそ、こうして彼は、家臣たちの目の届かぬ所で、謝罪をしているのだろう。


土下座したままの状態で、国王が言葉を発した。


「本当に、すまないことをしてしまった!申し訳ない!

こちらの都合だけであなたがたをこの世界へ縛り付けてしまう結果になってしまった!

しかし、図々しいかも知れないが!

我々を、どうか助けてはくれないだろうか!

恐らく、説明があったとは思うが、我々イルセ王国は今、危機に瀕している。

あなたがたはこの絶望的な状況にさした、一筋の光なのだ!

だから!どうかこの通「もういいですよ。」っ!?」


王の叫びを、千秋の落ち着いた声が止めた。

王の表情は、驚愕に染まっている。

そんな王に対し、千秋は微笑み、言葉を紡ぐ。


「王様がたとえこんな事をしなかったとしても、俺達はこの国に助力するつもりでした。しかし、やはりどこか、あなたに対して怒りを覚えたまま、戦場に出ていたでしょう。ですから……」


千明はそこで一度言葉を切り、未だ膝をついたままの王に、微笑みながら手を差し伸べ、


「王様、貴方がプライドを捨てて、謝ってくれたおかげで、俺達はこの国を、どんなことをしてでも守り抜くと決めることが出来ました。ですから、こちらからお願いしたいと思います。」


そして、手を差し出してきた王の手を引き、王を立たせて、千秋はこう言った。


「貴方達を僕らに助けさせてください。」


それに対し、王は、微笑み返しながら、


「あぁ、ありがとう……ありがとう…………」


と、涙を流しながら、感謝し続けるのであった……。




そんなやり取りがあった後、勇者一行は、オルガに呼ばれ、訓練場の近くの騎士団の休憩室に、集合していた。


「さて、お前達に集まってもらったのは、今後のことについて、決めたいからだ。俺達宮廷騎士団は、基本的に2週間、迷宮に潜っている。

そこでだ、お前達の中で、特に戦闘センスがありそうな奴らをあつめて、一緒に迷宮に潜ってもらおうと思う。

基本的には、2週間迷宮内で過ごして、帰ってきて、3日したらまた迷宮へ向けて、と言ったような具合だ。その際、メンバーを入れ替える、と言った感じだ。

第一回のメンバーはもう決めてある。今から名前を読み上げるから、呼ばれたメンバーは覚悟を決めることだ。地獄が見れるぞ。」


その呼ばれたメンバーの中には、千秋、真人、愛歌、美冬、穏乃がいた。

つまり、凰雅と春輝は留守番という事だ。

春輝と凰雅は、羨ましがったが、呼ばれたメンバーはあまり嬉しそうではなかった。真人に至っては、「俺の……生活が………」と、呻いていた。


かくして、メンバーが決まったところで、夕飯の時刻となったため、皆で夕飯を食べつつ、王城の人間達と談笑しながら、仲を深めていった。


女性陣は、勇者側の女性陣の何人かが何かを布教していた。それが何かは、ここでは明記して置かないでおこう。

その教えに対し、王城側の女性陣が、目を輝かせながら、話を聞いていた。


男性陣は、やはりというべきか、彼女がいないトークで盛りがっていた。そして、恨みの矛先が、クラス1の美少女に思われている春輝に向けられたのは言うまでもないだろう。

一応、凰雅も穏乃という美少女に思われてはいるのだが、何故か、ドンマイ……といった反応の方が多かった。

騎士の方も、訓練ばかりで彼女なんて作る暇がないという愚痴を言っていると、後ろからオリガに満面の笑みで、「訓練メニュー、明日は倍な?」と耳元で囁かれていた。


そんなこんなで、少しずつ時間は過ぎ、20時30分を回ったところでお開きとなった。

その後、男女に分かれて大浴場に入り、修学旅行気分になっていた彼らだったが、それぞれ用意されていた個室のベッドに入った頃合になると、鼻をすする音や、小さな泣き声が聞こえ始めた。


その頃であった。春輝の部屋のドアがノックされたのは。

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