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あのときの、きもち。 ~恋愛編~  作者: 桃色 ぴんく。
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小学校4~6年生。

 小学校3年の終わりごろ、一人の転校生がやってきた。ちらっと見ただけだが、背が高く、頭の良さそうな男の子だった。

 そして4年生になり、その転校生と同じクラスになった私は、その子に「けんしん」という呼び名をひそかに付けて、女子の中でそう呼んでいた。

 けんしんは、スポーツも出来て、成績もいい優等生だった。同じように頭のいい私の幼馴染みの「かおりちゃん」が、けんしんのことを意識していることを私はわかっていた。そして、かおりちゃんのそんな気持ちを知りながらも、私も少しけんしんが気になっていたのだった。けれど、私のそんな気持ちは表に出さずに、かおりちゃんとけんしんのことをヒューヒューとはやし立てて過ごす毎日だった。冷静になって考えてみると、頭のいいけんしんから見たら私は不釣り合いかな。かおりちゃんの方がお似合いなんじゃないかな、そんなことを考えて、私のこの恋は終わった。


 5年生の時には、クラスのひょうきん者「まる」に恋をした。坊主頭でいつも緑色のジャージをはいていて、決して男前ではないが、なんせおもしろい。アホなことを言ってはクラス中をどっと笑わせる明るい子だった。隣の席になった時、まるの貧乏ゆすりがすごくてビックリしたが、それはそれでそんなに嫌ではなかった。緑色のジャージの足がゆさゆさ揺れて、少し私の足に当たっていたのを思い出す。

 そして、今でも覚えているのは、5年生の時にグループ班に分かれて劇をしよう、という時のことだ。私は幸運にもまると同じグループ班になって、私たちの班は当時流行っていた『オレたちひょうきん族』のタケちゃんマンの劇をすることになったのだ。まるは当然タケちゃんマンの役だ。私は・・・というと、覚えている人がいるかわからないが『ごっくん娘』の役だった。タケちゃんマンが水を飲んだりして「ごっくん」と言うとどこからともなく登場して黄色いサクランボの曲に合わせて歌う3人組だ。私の班には女の子が2人だったので、ごっくん娘も2人バージョンですることになった。

 本番が近付いたある日、

「一緒に買い物行こうや」

と、まるが電話をかけてきてくれたのを今でも覚えている。劇のことはまるが仕切っていたので、ごっくん娘役の頭に付ける大きなリボンを商店街で一緒に選ぼう、ということだった。学校の用事とはいえ、学校の外で大好きな男の子と2人で買い物なんて、滅多に出来ないことなのでとても嬉しかったのを覚えている。まると一緒に選んだピンクと白の2本のレースのリボン。私はピンク色の方を付けた。

 当日、まるはホッペに赤い丸い色紙を貼って、眉毛にも黒の色紙を貼って、見事にタケちゃんマンになりきっていた。私たちの班の劇は笑いを呼んで、大成功だった。

 まるは、クラスの子以外にもたくさんの女子に好かれていた。ある日、飼育委員のまるの手伝いをしていた私に、隣のクラスの飼育委員の女の子が言ってきたことがあった。

「あんた、なんで飼育委員でもないのに、おるん?」

噂で聞いたことがあったのだが、その子もまるのことが好きだったのだ。委員でもない私がまるの近くにいたことが気に入らなかったらしい。今思えば、私も別にまると付き合っているわけじゃないのに、一緒に帰りたい気持ちから大胆なことをしていたんだな、と思う。


 結局、まるとどうこうなることもなく、6年生になった。まるとは違うクラスになり、私もそのうちまるのことを気にすることもなくなった。

 そんな時、クラス内でグループ交際が流行ったのだ。交際と言っても、流行りの「交換日記」と、日曜日にどこかに一緒に遊びに行く程度だったが、私の友達グループ数人が、男の子の同じグループ内の子と次々とカップルになりだしたのだ。そして、私はというと・・・相手のグループに一人残っていた「こうちゃん」という男の子とカップルになったのだった。それもまぁ、お互い「こいつしか残ってないし」的な感じだったと思うが、みんなのノリに付いていくにはこうするしかなかったのだ。

 こうちゃんは、他の男子と比べて少し硬派だった。

「交換日記は嫌やからせえへん。手紙の交換やったらええで」

と、言うので、私はひそかに用意していた交換日記帳を家に隠し持ったまま、こうちゃんと文通を始めたのだった。

 日曜日には、近くの海にみんなで遊びに行ったりした。女の子がお弁当担当で、一人ずつ「おかず」「フルーツ」「おにぎり」と、決めてそれぞれ持ちよった。私はおにぎりの担当だった。堤防の上で、みんなで座ってお弁当を食べたことを今でも覚えている。

 バレンタインには、カップケーキを焼いて、チョコをトッピングして、こうちゃんの家まで直接持って行った。最初は妥協でお互いカップルになることを決めたが、振り返ってみると、それなりにカップルっぽいことをしていて、結構楽しかったと思う。


◆小学校4~6年生のちょっとした恋の記録・おしまい。

 

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