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あのときの、きもち。 ~恋愛編~  作者: 桃色 ぴんく。
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幼稚園~小学校3年生。

 幼稚園時代には、好きな男の子がいた。色白の王子さまのような顔立ちの「さとしくん」で、何を隠そう、私はさとしくんと結婚の約束をしていた。

 いつも、幼稚園の自由時間に、布製の大きなブロック積み木を、意地悪なオオカミみたいな男の子が投げてくるのを、さとしくんが守ってくれていた。そんなさとしくんは、女の子たちの憧れで、みんなさとしくんのことを好きなようだった。そして、さとしくんは、私以外にも数人と結婚の約束をしていた。

「あたしがさとしくんのおよめさんになるんやからー」

「なにいってるねん、わたしがなるんや!」

なんていうやりとりは日常茶飯事だった。


 小学校へ入学しても、さとしくんとは同じ学校だった。1年生の時は偶然にも同じクラスの隣の席になった。そんなある日。先生が何かのご褒美でクラス全員に自腹で市販のアイスクリームを配ってくれたのだ。

大きな袋の中に、いろんな種類のアイスクリームが入っていて、先生が教室の端の席の子から順番に、袋の中のアイスを手に取り、机に置いていく。私のところにはどんなアイスが来るんだろう。わくわくしながら待っていた。そして、私の席に置かれたのは茶色いカップのアイスだった。

「コーヒーって・・・」

茶色いカップはチョコではなくコーヒー味だった。あからさまに嫌な顔をして、じっとアイスの方を見ていると、隣の席のさとしくんが声をかけてくれた。

「コーヒーいやなん?僕のと変えよか?」

さとしくんのアイスを見ると、なんとそれは当時CMで見て、ずっと食べたかったアイスクリームだったのだ。

「え!いいの?」

「いいで、はい、ほら」

そう言ってアイスを交換してくれたさとしくん。コーヒー味のアイスを食べれるなんて、私にはすごく大人に見えた。そして、私は念願のアイスクリームを口に運んだ。なんて、美味しいんだろう。今となってはもうこのアイスも販売終了して食べることがなくなってしまったが、バニラアイスの中にキラキラと宝石のようなピンク色の氷が入っている物だ。同じ世代の人には懐かしいアイスだろうと思う。


 そんな優しいさとしくんは、小学校2年の頃に、引っ越しして転校してしまった。もう、こうなっては結婚の約束も無効だ。私はアイスを食べた思い出と一緒にさとしくんへのほのかな恋心もしまっておいた。


 2年生のバレンタインでは、同じクラスの「うえうらくん」にチョコレートをあげることに決めた。うえうらくんはスポーツが得意でクラスの人気者だった。そんな彼には、なんとなく、普通の板チョコとかじゃなく、人と違う物をあげたかった。その頃、なんとなく背伸びをしたかった私は、思い切ってチョコレートケーキを購入。そして、朝にこっそりと、うえうらくんの机の中に入れておいた。さすが、人気者のうえうらくん、私がケーキを入れる時にはすでに3個別の子からのチョコが入っていた。

 その後、教室に入ってきたうえうらくんが、机の中のチョコに気付く。

「おぉ!チョコ入ってるし!えっ?これなんや!」

と、私が入れたチョコレートケーキを手に取った。ドキドキしながらその様子を見ている私に聞こえてきたのは

「なんやこれ、こんなん見たことないわ」

と、驚きというより、もらって嫌だというようなニュアンスの言葉だった。その時私は思った。ふん、ケーキの魅力がわからないなんてまだまだガキね、と。


 同じ頃、別のクラスの「のうたくん」という子が、私のことを好きらしい、という噂が立った。のうたくんと言えば、体格の大きいお父さんみたいな雰囲気の子だ。名前と顔は知っているが、あんまり接した記憶がない。それでも、自分のことを好きだと思ってくれる子がいることで、私はすごく嬉しかった。そして、用もないのに、のうたくんがよく遊びに来るという公園の前の道を行ったり来たりしていた。今思えば、何のサービスだろう。あなたのことは別に好きとかじゃないけど、私に出会えたらあなたは嬉しいでしょ、というかなりの上から目線だ。


 3年生の頃にも、まだうえうらくんのことが好きだった。けれど、去年のバレンタインの一件から、少し気持ちが冷めていたので、チョコをあげるほどではないかなぁ・・・という気持ちになっていたので、3年生のバレンタインは誰にもあげなかった。


◆幼稚園~小学校3年生までのちょっとした恋の記録・おしまい。

 

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