王子様ってかんたんには見つからないものなのね
「次は~王子駅~王子駅~」
王子駅、か
ここに私の王子様でも落ちていないものだろうか
まあ、落ちていたとしても拾わないだろうが
「ちょっと早く着きすぎちゃったな…」
待ち合わせの時間まであと30分はある
さて、どうしたものか…
正直、誘いに乗るか断るかすごく迷った
今日は月曜日だ
もし、二日酔いになんてしまったら翌日の業務に支障がでる
それだけは避けたい
それに、週の最初の日にとても楽しい思いをしてしまったら…
残りの一週間、どうやって過ごしていけばいいのかわからなくなってしまいそうだ
だけど、久しぶりに会えて、彼といろいろ話したい
そう思った
学生時代の懐かしい話とか、卒業してからの話とか
なんでもいい、彼と何か話したい
その思いの方が強かった
それに、夜ご飯を何にするかも決まっていなかったし
と、まあ、そんな感じで一緒に食事をする約束をしてしまったが、私はちゃんと話せるのだろうか
朝の調子だとすごくぎこちない会話になってしまいそうだ
どうにかしなくては…
いろいろ考えてはみたものの、何かいい解決策も見つからないまま、待ち合わせの時刻になった
「お待たせ!早かったんだね」
「ちょっと、乗る電車間違えちゃって、早く着いちゃった」
もう少し遅れて来てくれてもよかったのに…
おかげさまで、無理がある言い訳になってしまった
「はははっ!どういう間違え方したの!」
彼が笑って流してくれるとてもやさしい人でよかった
とはいえ、笑いすぎではないだろうか
おなか抱えてまで笑われると、逆にきつい
「ひい、あっはっは!…まあ、お前らしいな!」
「え?」
「ん?あ、いや、なんでもないよ!さ、行こうか」
私らしい、か
どういう意味だったんだろう
まあ、いっか
そして、私たちは駅の近くの居酒屋へと向かった