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飛沫
朝の川沿いを歩く。
私の毎日の習慣。
これをすると、昼間眠くならないですむのだ。なんか、こう。心から覚める感じ。
ふいに、気持ちのよい風が、頬をなぞった。
あ、来る。
いつもの定位置。
いつもと同じ時間。
ちょうど朝陽がカンカンと照りつける瞬間。
私はそう思った。
そしてその通り。水飛沫が、勢いよく上がる。
それはこの世界の何よりも輝く時間。エンジンの音と共にやって来たそれを、私はただ静かに見守る。
私には到底できないだろう。
ああやって、綺麗に水の上を走ることは、叶わないだろう。
だがせめて。
見ているだけならと。
そうやって、毎朝ここへ通っているうちに――――
――――私は、水の上を走るあなたに、格好いいと思うようになっていた。