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夢シチュエーション
塾帰り。九時半。高架下を自転車で。
薄暗い道だが、一番の近道だから僕は毎回ここを通る。
この時間だと人通りは少ない。故に一人。
こんな時、頭の中では最近読んだラブコメを思いだして、妄想を膨らます。
素敵な出会いが今まさにっ!............なんて夢のようなシチュエーションは来るはずもなく毎度帰宅するけれども。
夢は捨てちゃいかんと思うの僕。
それにほら、どこかで聞いたことあるし。
出会いはふとした瞬間だって。
頭の中から溢れ出して口からも溢れ出して。周りに人がいたら恥ずかしいくらいの大声で歌ってしまった。
いや本当に僕一人でよかったよかった。そして後ろを振り向くと。
「くくくくくっ!!」
女の子が笑っていた。
えぇー............人居るじゃん。ボッチじゃなかったよ。
「面白い人ですね!」
女の子は笑顔を見せた。
キラキラと光るようなその華に、僕は思わず見とれてしまう。
夢シチュみたいだなぁ。
君との出会いは、妄想みたいに素敵だった。