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LAST LOVE
「もう.............終わっちゃうんだね」
俺の隣に腰掛ける彼女は、何かを想うような顔でそう言った。
「あぁ。もう会えなくなるな」
心から溢れる想いを、悲しい顔をしないように押し止める。
俺達の目は上空に向いていて、目線のさきには今にも落ちてきそうな月が1つ。いや、もう落ちる。残された時間は精々2分程度だろう。
「なぁ」
「何?」
「俺さ、楽しかったよ」
「............私もよ」
「君と色んなとこ行けてさ、すげぇ嬉しかった」
「............私も」
「君と付き合うことが出来て、君の笑顔が見れて、俺は世界で1番の幸せ者だ」
「............わ、た......わたし、も」
目を押さえて泣きじゃくる彼女の頭を撫でる。いい香りが漂ってきた。
「いつまでも、一緒に居ような......」
そう言って、俺は彼女にキスをする。
ーーあぁ......
幸せだなぁーー
そして俺達の、繋がった瞬間を裂くように、目映い光が辺りを覆った。