結婚
「なーにあんた! まだ結婚してないの!?」
高校、大学と共に歩んできた、7年ぶりの友人が言った。
「いつから同居してたっけ?」
「えと、大学2年にはもうしてたなー」
私は、目にかかる前髪を払いながら答えた。
そう。
私は、何年も前から彼氏が居て、同居して社会人になったにも関わらず、結婚という1歩が踏み出せないでいる。
「なんでしないのよ。した方が気楽だったりするでしょ」
「そういうものかな......でも、もうここまで来ちゃうとさ。紙切れ1枚の問題なんだよね」
「世の結婚できない女が聞いたら大炎上だな......」
散々言われたよ、もう。
親には、「結婚する気がないのに同居している意味はあるの?」だし、近所にもあまりいい噂は広まっていない。
私だって、勿論考えてないわけではないし。
「まぁなんにせよさ............ちゃんと、プロポーズされてないし」
1番の問題。
何年も一緒に居るのに、彼氏がそんなことをする素振りを私は見たことがない。
「うわぁ。なんか、嫌だなそういうの」
――――だらだら続いて、一生結婚できなそう。
私もそろそろ30歳になる。
私は、どこまでもつだろうか。それとも、私が折れる前に彼氏が脱落したりして。
それとも......
一瞬、明るい未来を想像して、立ち止まった。
久しぶりに会った友人に言われた言葉は、流石に来るものがあった。
それでも、恋愛には様々な形があって、それぞれにあったやり方をすればいい。
結婚に拘る必要なんて、これっぽっちもないんだ。
なんにせよ、この調子のままで、もう帰ろうと思った。
今振り返ると、色々考えてしまいそうだ。
こんな私たちの仲は、はたしていつまで続くのだろうか。
未来は待っているのだろうか。
それとも――――