気まずい…
放課後になり、オレはいや予感がしたからりょーま達より一足先に下校をしていた。
案の定、会長がクラスにきてりょーまの周りが騒がしくなって巻き込まれないように静かに教室を出た。意外に大変なんだぞ!あのチェ……イケメンは直ぐに気付くし要らんこと言うし…。
オレは空を見て
「それにしても暑くなってきたな、もう少しで夏か……まったく嬉しくないな。」
「何でですか?」
ビクッ
慌てて後ろを振り向いたら黒髪の人がいた。嫌な予感は当たるもんだな……。
「何でここに居るの元村さん?りょーま達はどーした?」
「え?あっ、うん。会長さんがきた時に君だけが、逃げる様にして先に帰って行くから気になって…。」
気になってじゃない!見知らぬ人の後に付いていくんじゃあありません!小学生の時に習ったでしょ!!まっ、見知らぬ人ってわけではないか……ん?でも話したの今日が初めてじゃね?別に親しい友人って事でもないし、クラスメイトB………Dぐらいだな。とりあえず
「見知らぬ人の後に付いてきちゃダメだろ?」
「でも、クラスメイトだよね?」
イマイチ言っている事が分からないという表情をしていた。
(そうだ。この子(娘)天然だった。)
オレは右手を額に置いて溜め息吐いた。
「だからって……」
「凌ちゃんのお友達みたいだし………。………それに君は他の男性と違う感じがするし。」
後半は小さい声だったから聞き取れなかったが、りょーまの友達だからって、何てアバウトな……。最近の若い人は、皆こうなのか?もしオレが「姉ちゃん可愛いね。一緒に遊ばない?グヘヘヘヘ。」的な奴だったら無事じゃないぞ!。そうだとしても、りょーまが恐くて出来そうにないけど…。
「りょーまの家でいいんだろ?」
「な、何がですか?」
「あ、ごめん、ごめん。言葉が足りなかった。送って行くよ、りょーまの家は丁度帰り道だし。」
「あ、ありがとうございます。」
元村さんは、こちらに向かって頭を下げた。
●
「到着っと。じゃあねまた、明日」
「あっ、はい。ありがとうございました。」
元村さんは、家に入る前にこちらに一礼をしてから入った。しかし、凄く疲れたし会話が全くないから沈黙を保ったままりょーまの家まで着いたし……初めてりょーまの家が遠く感じた。
「あら、ダイくん。お帰り。」
りょーまの家から立ち去ろうと向きを変えたら、りょーまの母さんがいた。買い物の帰りなのか両手に荷物を持っていた。
「買い物をしていたんですか?」
「そうなの。あっ、今日も夜、食べるでしょ?」
「すいません。いつも。」
毎日の様に夕飯をご馳走になってるから申し訳ないよな
「いいのよ、ダイくんは美味しいそうに食べてくれるし、それに……何でもないわ。」
凄く気になるのは、オレだけですか?
「それじゃ、オレは帰ります。」
「あら?上がっていかないの?」
「そろそろバイトの時間なので…」
「何時頃に終わるの?」
「9時頃で………すいません、今日はやっぱり大丈夫です。」
9時頃に人の家に行って夕飯を食べるって凄く迷惑だよな。
「気にしなくても……わかったわ。」
一瞬、りょーまの母さんがニヤッと笑うのが見えたけど、気のせいだよな?何か物凄くイヤな予感がするんだけど……それより速くバイトに行かなければ
「それじゃすいません。失礼します。」
一礼をしてバイト先に向かった。その時、りょーまの母さんが笑顔で手を振っていた。




