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あれ?オレの出番がなくね?



主人公が売店でパンを購入する少し前。










~柳本 凌馬~




『ピンポーンパンポーン。2年3組の柳本凌馬くん。2年3組の柳本凌馬くん。至急生徒会室に来てください。』




いきなり校内連絡で呼ばれた。

何だろう?至急って言ってるし急いだ方が……。そう思い慌てて教室を出て生徒会室に向かった。向かっている途中にダイも呼ばれてた。やっぱり重要な事があるのかな?



















生徒会室の前まで来て勢いよく扉を開けた。




「先輩!」




「おぉ~凌馬くん、速いねぇ~さっき呼んだばかりなのに!えらい、えらい。」




高そうなソファーに座ってる先輩がこちらに振り向いて俺の周りをキョロキョロと見ていた。




「あれ~?鈴木宮くんは?一緒に来なかったの?」




「先輩が至急って言うから慌てて来たので1人で来ましたけど……連れてきますか?」




やっぱり重要な用事なのかな?




「ん~、大丈夫だよ凌馬くんの事だから連れてくると思っただけだから。」



あれ?大丈夫なんだ。




「それで用事ってなんですか?」




時間がかかることなら速く作業しないと。




「ん?あっ!そうそう、一緒にお昼でも食べようかと思って呼んだんだけど……大丈夫だった?」




「へ?……それだけですか?」


「うん♪」




笑顔で頷かれても




「大丈夫ですけど。」




何か疲れてきた…慌ててきたから?でもこの疲れはちょっと違うな……。




「か~え~で~!」




ビクッ




俺は声がした方を向き、先輩は後ろにゆっくり、それはゆっくりと顔だけを向けた。そこには、黒髪ショートヘアーで眼鏡をしている女性。先輩とも負けず劣らずの美人が眉間にシワを寄せてとっても怒っている表情をしていた。

この人は飯村先輩。何で居るんですか!?さっきまで俺と先輩しか居なかったのに。


先輩は冷や汗を流しながら飯村先輩に話をかけてた。




「さ、早苗。いつから居たの?」


「確か『おぉ~凌馬くん、速いねぇ~さっき呼んだばかりなのに!えらい、えらい。』辺りね。」



「最初からじゃん!」




「そうとも言うわね。…………さて、楓。何度言えば分かるの!校内連絡を私的に使用しちゃ駄目って!」




先輩は助けを求める様にしてこちらを見ているけど、すみません!これは飯村先輩が言っているのが正しいと思います。




「で、でも」




「でもじゃない!」




あの先輩を抑えられるのは飯村先輩ぐらいだよ。先輩もお昼を一緒に食べるなら校内連絡を使わないで教室まで来ればいいのに……ん?お昼を一緒に?




「あぁ~!!」




「どうしたの?」




いきなり、大きな声を出したことで先輩と飯村先輩が心配そうに俺の方を向いた。




「すみません、いきなり大きな声を出して。それが今日、梓と一緒にお昼を食べる約束をしていて……。」




「んにゃ?梓ってだぁれ?」




先輩の問いに答えようとしたら、飯村先輩が溜め息混じりに先に答えた。



「まったく。今日、柳本くんのクラスに転校生が来たでしょ、多分その子よ。」




「あっ!そうだった!。何?もうフラグ作っちゃったの?やるねぇ~色男!」




「何言ってるんですか?梓とは、幼なじみです。それに俺はイケメンでもなければ、色男でもありません!」




イケメンは仲沢みたいな人の事を言うんだって、うん。


あれ?何で先輩たちは、溜め息吐いてるの?




「はぁ~凌馬くんは、そうだったね。」




「ここまでくると尊敬しちゃうわ。」




え?何で?

何かを思い付いたように先輩が




「そうだ!その梓って子も呼んじゃおー!」




「まさか、楓!」




「ヤバぁ、凌馬くん行くよ!」




それだけ言うと先輩が俺の左腕を掴んでそのまま生徒会室を出て何処かに走って向かった。




「待ちなさい!止まりなさい!柳本くん!!」




何で俺だけ!?飯村先輩、俺は関係ありませ~ん!!

























「早苗ったら、しつこいんだから!ね?凌馬くん。」




「はぁ、はぁ、はぁ、な、何でそんなに元気なんですか?」




飯村先輩から逃げる為に走らされて、走らされて、走らされて………なのに先輩は汗をかく事もなく息も乱れていない。今は、生徒会室に似た一室に隠れている。あれ?




「ここって生徒会室……?」




俺が周りを見て思った事を呟いたら先輩が反応した。




「そうだよ。ここでも呼び出し出来るもん。それに放送室だと早苗が待ってると思うし。こっちだよぉ~。」




先輩が奥の部屋に向かったので後を追いかけた。扉を開けたらそこには、特に凄い設備があるわけでもなく校内放送などに使うであろうマイクがあるぐらいだった。




「その梓ちゃんの苗字って何だっけ?」




「元村ですよ。」




先輩は分かったと答えた後、マイクの電源を入れて連絡を始めた。………こんな事して大丈夫かな?




『ピンポーンパンポーン。2年3組の元村 梓さん。2年3組の元村 梓さん。お連れの凌馬くんがはぐれて困っていまS『ちょっと先輩!これじゃあ俺が迷子になったみたいじゃあないですか!?』もう、凌馬くんは我が儘だなぁ~はぐれたって言ったからわざわざ…『そんな事言ってません!』…そんなわけだから梓ちゃん、生徒会室まできてねぇ~♪』





俺は扉を開けて下を向きながら部屋を出た。



(先輩も何であんな事言うのかな?恥ずk……)




下を向いて歩いていたら人の足元が見えて視線をゆっくり上にあげていくと、笑顔の飯村先輩が立っていた。


可笑しいな?笑顔なのに物凄く……コワイ。




「柳本くん。楓はそこに居るのよね?」




飯村先輩の問いに俺は頷く事しか出来なかった。そしたら、また連絡?の放送が鳴った。




『あっ!そうそう。

そこでドヤ顔をしている鈴木宮くんもついでに来てね♪』




また、ダイも呼ばれてる……




「フフフフフフ……もう楓ったら……フフフフフフ。」




飯村先輩は笑いながら奥の部屋に入っていった。



何でだろう?ただ笑っていただけなのに寒気する……。


速く梓こないかな?





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