ららら?
放課後になり、帰る準備をしていたら声をかけられた。
「お~い、ダイ!一緒に帰ろうぜ!」
爽やかイケメンボーイことりょーまが現れた。
どーする?
1、たたかう
2、にげる
3、無視する
4、一緒に帰る
ここは、無難に………
スッ
「さぁ、来てみやがれ!!」
「……な、何してんの?」
ファイティングポーズを構えたら、若干引き気味に対応されたし…
「疲れてんだよ、誰かさんのせいで。」
あの後、会長に生徒会室に連れられて何故か仕事を手伝わされ、連れてきた当人はどこかに……りょーまの所に行っていないし意味解らねぇし
「それは、お疲れ様?」
なに他人事みたいに言ってんだよ、しかも疑問系で
「何言ってんだよ。お前だよ、お・ま・え!」
「え?お、俺ェ!?!?」
「…………それで、何のようだ?」
「え?だから一緒に帰ろうと思ったんだけど……」
はぁ~?なに言ってるの?りょーまと一緒に帰ったら必ずセットであの二人が付いてくるだろうが!
「嫌だよ、あの二人と帰ればいいだろ?」
「それが用事があるとかで先に帰って……
それにしても困ったな、母さんがダイを連れてこいって言ってたのに……」
りょーまは右手を頭に乗せて若干困った表情をしていた。
「ん?何でりょーまの母親が?」
「今日の夕飯、ダイの分も作るから必ず連れてこi…」
「なんでそれを速く言わないんだ!!」
自分の席の所にあるカバンを急いで左手に持った
「速く行くぞ。」
それだけを言うとりょーまの返事を聞くことなく教室から出ていった。
◆
「ダイ、何か聞こえない?」
りょーまと一緒に下校をして帰り道の公園の近くになるといきなり聞いてきた。
「そうか?気のせいだろ」
「そうかな?……!?」
更に公園に近づくとりょーまがまた反応した。
~~♪~~♪
「!?、確かに聞こえたな」
公園に近づく度に女性らしき歌声が聞こえてきた。
「この声……どこかで……」
りょーまは、この声に聞き覚えがあるのか思い出そうと眉間にシワを寄せて考えていた。その時、このリア充が!!と思ったのは仕方ないだろう。
そのまま少し歩いて公園まできた。誰も居ない公園の真ん中らへんの所で腰までの長さのある黒髪の女性が歌っていた。
「ら~ら~ら~。」
オレとりょーまは歌っていた女性の方を見ていた。
「歌は好きですか?」
歌っていた女性が歌い終わり、こちらに振り返らずに問いかけてきた。公園には誰も居ないので多分オレらにだろう。いや、りょーまか
「俺は歌うのは得意ではないけど聞くのは好きだよ。」
りょーまは問いかけにちゃんと答えた。オレ?オレの知り合いに(……)美人なんて(………)いないから答えないだけだけど……何で振り返ってないのに美人って分かるのかって?それは、りょーまの知り合い?だからな!スーパーチェ……ゴホン、スーパーイケメンボーイのりょーまに平凡な異性の友達?なんていないからな!多分だけど……現に学校ではレベルの高い人たちが周りに居るし。
歌っていた女性がこちらに振り返った。想像通りでアイドル顔負けの美人。その顔を見たりょーまが驚いていた。
「変わらないね、凌ちゃんは」
「ま……まさか……あ、梓……梓なのか?」
「うん!
久しぶり、6年ぶりだね。」
りょーまの問いに梓と呼ばれている女性は笑顔で頷き答えた。りょーまの事を凌ちゃんと呼ぶのだからとても親しい仲だったのだろう。
「久しぶり…じゃあないだろ!何であの時なにも言わずに居なくなったんだよ!!」
女性はばつの悪そうな表情をして
「あの時は家の事でちょっとバタバタしてて……
ごめんね。」
アレ?オレ空気じゃあね? それじゃあ空気をよんでこの場を離れますか
◆
その後、りょーまを置いて先にりょーまの家に着き学校から帰って来ていた遥香ちゃんと駄弁っていた。
「梓さん、帰ってきたんですか」
「やっぱり知り合いなんだ」
先程の事を遥香ちゃん告げたら懐かしいそうにしていた。
「はい。家が隣という事もあって小さい頃からよく遊んでいましたから」
幼なじみって事か…
これは明日、面白い事になりそうだな。
「あら、ダイくんは梓ちゃんに会ったの?」
りょーまの母親がキッチンからオレと遥香ちゃんがいるリビングに来て問いかけてきた。
「会ったというか…遭遇した?の方が正しいかも知れませんね。」
「そうじゃあなくて……どうだった?」
りょーまの母親はニヤニヤ笑いながら聞いてきた。
それをりょーまじゃあなくオレに聞きますか?
「可愛いというか綺麗というか……美人…だったですね。」
そう答えるとりょーまの母親はなりやら納得した表情になり、遥香ちゃんの耳元で何かを言っていた。こちらにには聞こえなかったが、遥香ちゃんがビクッと反応して、オレを見て
「……負けないもん。」
何が!?
「フフフ、
その梓ちゃんなんだけど、今日からウチで暮らす事になったのよ。
それで、今日歓迎会のようなものをするからダイくんを誘ったのよ。」
人数は多い方がいいでしょ?と続けた。
ん?オレ関係なくね?その梓?って人に対して全く接点ないし強いてあげるなら、今日見かけたぐらいだし。というか全く知らない人に歓迎されても困るだろ。
「それじゃあ、そろそろ帰ります。」
「えっ?もう帰っちゃうんですか?」
「もしかして都合が悪かった?」
いやだから気まずいでしょ、多分……絶対に気まずくなるから。
「ええ。あと少ししたらバイトの時間ですから、これで」
それだけを告げると、柳本家を出た。
……というかりょーま達は何時になったら帰って来るんだよ。あれから結構な時間が過ぎたぞ…。まっいいか。それより速くバイト先に行かなければな。




