表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヤクザと召喚師  作者: 緑一色
逆換編
11/38

牙を研ぐ狼

狂助は外を歩き始めた。



これまでの経緯から考えると久しぶりの自分の世界を楽しんでいる。

普通の人間ならそうする。




だが、狂助は違った。



二宮組事務所から徒歩で20分。


狂助はそこにそびえ立つ建造物の中へと入って行った。




中にはまともな生活をしていないであろうガリガリに痩せた老人がいた。



「いらっしゃい・・・・・・っと、お前か」


狂助は無言で老人を睨みつける。



狂助の姿を確認した老人は棚から一つのエアーガンの箱を下ろした。

どうやら置かれている品物の種類から考えてここはおもちゃ屋のようだ。





しかし、表には看板の類は一つも無くパッと見、空き物件にも見える。



「何が欲しいんじゃ?」


狂助が無言で札束をカウンターに置く。




その枚数は100や200では無いだろう。



「チャカか?」


「いや、小銃とあとは適当に」




「じゃあこれで良いか?」



そう言って老人はカウンターに置いてあるエアーガンの箱を開ける。




そこには箱の表面に描かれていた銃がそのまま入れられていた。AK47という名前の小銃である。


だが、今の狂助には銃の名前などどうでも良かった。



「それでいい」




「まいどあり。それだとまだお釣りがくるが他に何か買わんか?」


「手榴弾、予備の弾、ストック、ポン刀、買えるだけ」



「おいおい。何じゃ?討ち入りでも始める気か?この日本という国でそんな物買うとは」


「そんなもの売ってるここもどうかと思うがな」



「敵討ちか?」





狂助は老人の胸倉を掴み、低い声で言い放った。



「余計な詮索をするな」




老人は全く動じておらず両手を挙げて「おお、怖い怖い」と冗談めかした降参の意思を示した。



狂助はそれを見て老人から手を放した。

そして、そのまま続けた。


「今すぐ渡してくれ」



「そう言うと思っとったわ。お前の目がそんなにギラギラしてるのを見るのは久しぶりじゃよ」




老人は後ろの棚からゴルフバッグと先ほど狂助が注文した手榴弾と予備の弾、そしてAK47専用のストックを下ろしてきた。



ゴルフバッグを開けると中には十数本の日本刀が入っていた。


その中の一本を狂助は適当に取った。



「まいどあり」





「爺さん・・・・・・なんだかんだ言ってもいつも感謝している。

多分これでもまだ100枚くらいは残るはずだ。

旅行にでも行きな」


「はっ、野郎に言われても嬉しくもなんともないわ。お前が死んだ婆さんくらい美人な女だったら別だがな」



狂助は豪快な老人の笑い声を背に受け、店を後にした。











残り時間3:25:41



「あっ、片桐さん。どこ行ってたんですか?」


狂助が事務所の戸を開けた瞬間、田村が狂助を出迎えた。



「ああ、ちょっとな」




「そうですか。今から栄次さんの通夜の準備を行いますから狂助さんは今夜、代理の頭をやってください」



狂助は少し考えたのち、返事をした。



「悪い、俺はそんな器じゃない。田村、お前が頭をやってくれ」



しばしの沈黙の後、田村が青ざめた顔で反論した。



「な・・・・・・何を言ってるんですか!栄次さんもあなたのことを良く言ってました。『もしも跡継ぎが必要になったら頭の座はあいつに譲ってやる』って!」


狂助はフッと笑い、田村に背を向けた。




その背中に哀願するかのように田村は続けた。



「片桐さん!!今、あなたが消えたら組は潰れてしまいます!お願いします。ここに残ってください!」



「田村、お前は自分が思ってるほど小さくなんかない。本当によく組のことを考えている。それに比べて俺は・・・・・・」



狂助は少し間を開けて重々しい声で言い放った。


「ただの復讐鬼だ」



狂助は玄関先に置いてあった日本刀と小銃を持って二宮組事務所に背を向け歩き出した。





後ろからの田村の声に一度も振り返らずに。

まだまだ評価、感想、批評、その他諸々も受け付けております。

宜しくお願いします。(でも、返事は遅くなりますw)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ