昔の知り合い
「遅かったですね」
「ああちょっとね......ていうか、お前なあ呼ぶのが急なんだよ!精神世界来れるんなら数日前には来い」
「はいはい、上がってください。文句は聞きますから」
そいつに促されるように俺は家の中に入った。
「あ、そこ気を付けて。トラップあるので」
「気づいてるから別にいい。ていうか、トラップなくしとけよな。誰も来れないだろ?」
「あなた以外入れないですし入れたくないのでいいんです」
そう言うそいつの顔は少し悲しそうだった。生い立ちのことは聞いているし、前のことも知っているから人を怖がっているというのはよく分かっている。
「お前が信用できる相手できるといいな」
俺に飲み物を渡してくるそいつにそう言った。
するときょとんと首を傾げ
「何を言ってるんですか今更」
と、そいつはそう言った。
「どういうこと?」
「なんで僕が前であなたと、ファミリーたちと最後までいたのか君は気づいていなかったんですか?勘が鋭いくせに変なとこで鈍感なんですから」
「いやいや、だって俺はお前を縛ってたようなものだろ?俺というか俺が継いだファミリーというかさ......縛られてたらお前だってどこにも行けないじゃん。だから俺たちと一緒にいたんじゃないの?じゃなかったら織に、矢霧織側に一切メリットないじゃん」
俺は一息でそれを言い終え飲み物をすすった。
だってそうなはずなのだ。織はマフィアが嫌いだった。だったという過去形では済まないほどに今もなお憎んではいるだろう。
織本人から聞いた話によると織は昔、誘拐されて人体実験の実験体として利用された。その時に手に入れた力が、輪廻の輪から外れ何度も巻き戻り別の人間として過ごすものと、恨みという気持ちを刃にするというものだったと聞いている。
だから、織がこの世界にいるというのも織に埋め込まれてしまった力だと思えば不思議ではない。
「はあ......あなたっていう人は本当にどこでも馬鹿ですね」
「急な罵倒?!」
「だってそうでしょう。一度しか言わないからよく聞きなさい。空渡慶喜、僕は君がボスを継ぐといったからそちら側についたんです。あのくそ狸に脅されたからではないですし、君がボスを継ぐときにはすでに僕を縛るものはなくなっていましたよ。その前に君に協力をしているところを見てもういいだろうとなったのでね。ほら、これで馬鹿な君でもわかりましたか?」
俺がボスを継ぐときにすでに織を縛るものがなくなっていた。俺が継ぐからつくことにした......つまりは
「お前ってもしかして俺たちのこと好きだったの?!」




