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お弁当のからあげで彼の胃袋を掴むことに成功した私は、交際0日で結婚を申し込まれました☆

作者: 梅花かえで

毎日職場に行くのが楽しいのは、大好きなあの人がいるから。

彼の笑顔が見たくて、彼の声を聴きたくて、今日も私は出勤する。

だけど彼は、「唐揚げ」に夢中。毎日毎日社員食堂の唐揚げ定食を食べている。

私の唐揚げを、彼のいちばんにしたい!

食堂の唐揚げに負けたくない。

今日も私は彼の胃袋を掴むために奮闘する。

私には想いを寄せている人がいる。

同じ職場の彼はいつも社員食堂で唐揚げ定食を食べている。

彼が同僚に

「唐揚げは揚げたてに限る!ここは注文受けてから2度揚げしてくれるから、いつもアツアツが食べられるんだ」

と言っているのを何度か聞いた。

彼の胃袋を掴みたい。けれど揚げたての唐揚げを食べてもらうにはそれなりの関係性がないと難しい。

そこで私は、いつか何かのきっかけで食べてもらえるチャンスを夢見て、冷めてもおいしい唐揚げの研究をした。お弁当に入れても衣のサクサク感を残し白米が進むようにしっかり味をつけつつ鶏肉のうまみを感じれるように…

彼の言葉を思い出しながら、彼好みの唐揚げになるように何度も試行錯誤した。

そしてついに納得の唐揚げができた。

あとはどうやって彼に食べてもらうかが唯一の課題になった。

突然「お弁当作ったの、食べて♡」なんて言える間柄でもないし、あわよくば彼の方から「美味しそうな唐揚げだね、一つもらっていい?」なんて言ってくれないかなんて考えてしまう。毎日手作り弁当を持参し同僚と食堂でお昼を食べる日々がしばらく続いた。


ある日突然チャンスは訪れた。いつものように唐揚げ定食を食べていた彼が、最後の一つを落としてしまったのだ。お茶碗には唐揚げ一つ分のご飯が残っていて明らかに落ち込んでいる彼の姿。

私は今しかないと意を決して、彼に話しかけた。

「私のお弁当の唐揚げで良ければ、おひとつどうぞ」

彼は一瞬驚いた顔をしていたが、ありがとうと言って受け取ってくれた。

彼が唐揚げを口に入れる瞬間、心臓が大きく暴れだし壊れるんじゃないかと思った。

「これ、斎藤さんが作ったの?」

彼に問いかけられ

「うん…どうかな?」

恐る恐る聞いてみた。

彼は大きな瞳を輝かせ

「美味しい、すごく美味しいよ。

今まで食べた唐揚げの中で一番美味しい!」

まるで少年のように答えてくれた。

この笑顔が見れただけで充分嬉しかった。今までの努力が報われた気がした。


その後、特に何も進展がないまま数日が経ち、相変わらず私の片思いは続いている。

業務上の会話は少々あるものの特に距離が近くなった感じもなく、やはりそう簡単に胃袋を掴むことはできなかったようだ。小説のようなハッピーエンドは現実には起きないと悲観的にもなっていた。

けれど、ある日突然奇跡はおきた。

彼に声をかけられたのだ。しかも、

「僕と結婚してください」


……突然のプロポーズに嬉しさより驚きが大きかった。なにが起きたのかわからなかったが、彼の真剣な眼差しは全てを信じるに値する。これから二人でゆっくりと愛を育むことにした。




最後まで読んでいただきありがとうございます。

彼目線の物語

『お弁当のからあげが美味しすぎて胃袋を掴まれてしまった僕は、交際0日で結婚を申し込みました☆』

も、ご一読いただけますと幸いです。

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