⭕ 新生活の1歩 4
──*──*──*── 村の外れ
──*──*──*── 墓地
地下に作られた隠し通路の階段を上がり、外に出ると殺風景な《 墓地 》が広がっている。
頬を撫でる様に吹いている風をマオは冷たく感じる。
レスタ・グインノルチ
「 《 墓地 》の出口は此方だ。
──殺風景な《 墓地 》だろう? 」
気味悪がって人が近寄らない事もあり、墓碑も汚れたままだ。
雑草も生え放題で、壊れた墓碑も目立つだろう 」
マオ
「 な…何か……すっごく粗末にされてるんだな……。
墓石って亡くなった人の家なんだろ?
放置されっぱなしなんて……罰当たりって言うか── 」
セロフィート
「 〈 大自然の法則 〉〈 大陸の法則 〉を知らず、学ぶ機会も無く暮らしているのです。
形だけの尊葬,墓碑が粗末になっているのも当然です 」
マオ
「 此処って個人墓ばっかだよな?
個人墓って身内が亡くなると増えて、墓参りが1回で済まないから大変だよな。
墓石が幾つも在る訳だから掃除するのも一苦労だし…。
いっその事、墓参りも掃除も1回で済ませられる家墓にしたら多少は楽になるんじゃないのか? 」
セロフィート
「 確かに個人墓が増えると困る身内も少なからずは要るでしょう。
家墓に変更するのも1つの方法です。
棺に遺体を入れて埋葬されて入れば作業も楽でしょうけど、棺は高価な品です。
土葬でしょうし、御先祖の遺骨を掘り起こす作業は大変でしょう 」
マオ
「 《 墓地 》を掘り起こすなんて面倒な作業だよな。
勝手には出来ないし── 」
セロフィート
「 《 墓地 》を管理する墓守りを〈 器人形 〉に任せれば良いです。
《 墓地 》を《 霊園 》に作り替える打診を村長にしてみましょう 」
マオ
「 村長が許可するかな~~。
村人達の意見だって聞かないとだろ? 」
セロフィート
「{ 否定的なら村長と村人達の記憶を改竄するだけです♪
この≪ 村 ≫を拠点とし、広大な森と村々も手に入れましょう }」
マオ
「{ 言うと思ったよ!
何時ものパターンだな }
( まぁでも──、一応は村長と村人達の意見を聞いてからの事だし──、昔に比べたらセロも自重してくれてるって分かる(////)
オレの苦労と頑張りはちゃんと報われてる──って事だよな! )」
レスタ・グインノルチ
「 セロは≪ 村 ≫の為に色々としてくるんだな 」
セロフィート
「 滞在中、御世話になりますし。
≪ 村 ≫に少しでも貢献したいだけです 」
マオ
「 ははは……。
( セロの場合は “ 貢献 ” って書いて “ 乗っとる ” って読むんだけどな~~。
セロなら本当に有言実行しちゃうから洒落にならないんだよな…… )」
セロフィート
「 ──とはいえ、ワタシが直接何かをする事はないです。
ワタシはマオと一緒に冒険者として活動するだけです 」
レスタ・グインノルチ
「 はははっ(////)」
レスタ・グインノルチと共に墓地を出ると、≪ 村 ≫を目指して森の中を歩く。
《 墓地 》と≪ 村 ≫の距離は徒歩で5分程だ。
──*──*──*── 村
≪ 村 ≫に入ると寄り道せずに《 ギルド紹介所 》へ向かう。
《 ギルド紹介所 》の受け付けカウンターにて、ギルド加入に必要な書類を提出した後、マオとセロフィートの魔獣討伐の登録も同時に申し込む。
レスタ・グインノルチ本人が同行し、魔獣討伐の保証人欄にサインを記入した事もあり、スムーズに両方の書類を受理してもらう事が出来た。
《 ギルド紹介所 》を出た後、マオとセロフィートはレスタ・グインノルチの案内で村長の家へ向かう事になった。
村長の家では、レスタ・グインノルチが村長に対して新しくギルドに加入してくれたマオとセロフィートを紹介し、セロフィートの提案も村長へ説明してくれた。
森の中に移動用の道を作り舗装する作業──、荒れ果てている《 墓地 》を整備,墓守りが管理する《 霊園 》に作り替える作業──、作業に掛かる費用も全額セロフィートが負担する条件を提示した事で、村長から許可が下りた。
費用を全額負担して迄、≪ 村 ≫に貢献したがっている物好きな冒険者の申し出を無下に断る馬鹿も居ないだろう。
仮に村長がセロフィートの申し出を断っていたならば、村長の記憶はセロフィートの古代魔法により都合良く改竄され、セロフィートの傀儡と成り果てていたに違いなかった。
村長は知らず知らずに命拾いしていたのである。
マオ
「 セロ、話の通じる村長さんで良かったよな!
許可してもらえて安心したよ」
セロフィート
「 そうですね。
聡明で賢明な村長さんで安心しました。
{ 記憶の改竄が出来ず残念です……}」
セロフィートは笑顔だが、少々不服そうでもある。
マオ
「{ レスタさんには絶対に言うなよ! }
許可してもらえたって事は、明日から作業に取り掛かるんだよな? 」
セロフィート
「 いえ、今から取り掛かります。
作業をするのは全て古代兵器に似せて自動人形ですし 」
マオ
「 そっか~~。
丸投げはセロの専売特許だもんな! 」
セロフィート
「 もっと褒めてください♪ 」
マオ
「 嫌味を言ったんだけど!
( セロに嫌味は通じないんだった── )」
レスタ・グインノルチ
「 用事は済んだな。
残りの時間は観光を楽しむんだったな。
私は “ ギルド ” へ戻るから思う存分に楽しんでくれ 」
マオ
「 レスタさん、有り難う!
折角だし、レスタさんも一緒に回ろうよ 」
レスタ・グインノルチ
「 折角の水入らずを邪魔する程、私も野暮ではないさ 」
レスタ・グインノルチはマオとセロフィートへ手を振ると1人で《 墓地 》へ向かって歩き出した。
マオ
「 えぇ~~。
レスタさん、行っちゃったな…… 」
セロフィート
「 人混みに酔ったのかも知れません。
顔色も悪かったです 」
マオ
「 えっ?
そうなの?
全然気付かなかった…… 」
セロフィート
「 マオも未々ですね。
日が暮れる迄、観光デートを楽しみましょう 」
マオ
「 そうだな(////)」
マオはセロフィートと手を繋ぐと≪ ローダルドタ大陸 ≫で最初に訪れた≪ 村 ≫で観光デートを始めた。
マオ
「 ──処でさ、動物がモンスターに突然変異したり、モンスターが魔獣に突然変異したりするのって──、やっぱり≪ ローダルドタ大陸 ≫の〈 皇 〉が長期滞在中だからかな? 」
セロフィート
「 そうでしょうね。
突然変異する原因は十中八九 “ 大陸の意思 ” に依るものでしょう。
人間にはどうする事も出来ません。
〈 時空の亀裂 〉が現れていないだけマシな方でしょう 」
マオ
「 …………………………そだな。
〈 時空の亀裂 〉が発生したら、地球とは異なる他所の次元の世界と繋がって、見知らぬ種族が通って来るんだもんな…… 」
セロフィート
「 〈 時空の亀裂 〉が出現する前に不浄が地上に蔓延し始め、動物や人間が魔物へ変貌し、大騒ぎする事になりますけど── 」
マオ
「 ………………そうだったな……。
すっかり忘れてたよ。
でもさ、“ 不浄 ” を浄化するには “ 奇蹟の能力 ” を授かった聖女様が必要だろ?
ちゃんと産まれるのかな? 」
セロフィート
「 全ては “ 大陸の意思 ” です。
“ 大陸の意思 ” であっても “ あまりにも行き過ぎている ” と〈 久遠実成 〉が判断されれば、対策として聖女となるべく者も使わされる事も有るでしょう。
マオとワタシには関係無い事柄ですし、無視しても良い事です 」
マオ
「 そ…そうだよな?
此処は≪ ローダルドタ大陸 ≫であって、オレの故郷じゃないもんな…… 」
セロフィート
「 分かって来ましたね。
さて──、次はあの店に入りましょう 」
マオ
「 魔具を販売してる店?
魔具??
魔法道具じゃないのかな?? 」
セロフィート
「 ≪ ローダルドタ大陸 ≫には魔法士,魔導士,魔術士が存在してます。
魔具とは──、魔法道具,魔導道具,魔術道具の事を指しているのでしょう。
面白い魔具が有れば良いですね── 」
マオとセロフィートは魔具が販売されている専門店へ入店した。
マオ
「 うわ~~、もう日が暮れてる!
森の中だから暗くなるのも早いんだな。
真っ暗にならない様にも明かりが灯り始めてる 」
セロフィート
「 魔具ですね。
≪ 村 ≫の外れに在る《 墓地 》へ向かいましょう 」
マオ
「 隠し通路が有るから森の中を歩いて “ ギルド ” に戻らなくて済むから助かるよ 」
セロフィート
「 《 墓地 》へ続く道は自動人形が作ってくれます。
舗装には暗闇に光る蛍光煉瓦を使わせてます 」
マオ
「 それなら迷わずに《 墓地 》まで行けるな! 」
セロフィート
「 蛍光煉瓦にはモンスター,魔獣を寄せ付けない効果が有ります 」
≪村 ≫から1歩出ると蛍光煉瓦が丁寧に地面の中に埋め込まれており、立派な煉瓦道が出来上がっていた。
マオ
「 わぁ……横幅が広くて歩き易いな。
左右に作ったんだな。
右が《 墓地 》へ向かうで、左が≪ 村 ≫へ戻る道か──。
真ん中は花壇にしたのか? 」
セロフィート
「 花は心を和ませてくれます。
《 墓地 》のマイナスなイメージを払拭する為に作らせました 」
マオ
「 綺麗だよな。
確かに花が咲いている道を歩いていると道中の怖さも軽減しそうだな 」
マオとセロフィートは自動人形が作った煉瓦道の右側を歩きながら《 墓地 》へ向かう。
《 墓地 》に入ると自動人形達の手に依って、掘り起こしの作業が進められていた。
マオ
「 結構深く掘るんだな 」
セロフィート
「 土葬の場合は深く掘り、遺体を埋めますからね 」
マオ
「 墓石や柩が宙に浮いてるな~~。
何か凄い光景だ…… 」
セロフィート
「 移動させる場所が無いですし、浮かせた方が作業の効率も上がります。
《 霊園 》の出来上がりを楽しみにしていてください 」
マオ
「 う、うん…… 」
作業が行われている《 墓地 》を通り過ぎ、隠し通路に続く階段を下りる。
階段を下り、地下の隠し通路に着いたマオとセロフィートは、“ ギルド ” を目指して歩き始めた。
◎ 訂正しました。
階段を上り、─→ 階段を上がり、
壊れた墓碑─→ 壊れた墓碑
土葬ですしょうし、─→土葬でしょうし、
手に入 (い)れましょう }」─→ 手に入れましょう }」
色|々としてくるんだな 」─→ 色々としてくるんだな 」
「 そうだ(////)」─→ 「 そうだな(////)」
此処は≪ ローダルドタ大陸 ≫ ─→ 此処は≪ ローダルドタ大陸 ≫