──*──*──*── 翌日
──*──*──*── ギルド
──*──*──*── 食堂
器人形
「 マオ様、御待たせ致しました。
どうぞ、出来立てを御召し上がりください 」
マオ
「 有り難う!
ほんの数時間で此処まで綺麗にするなんて凄いよな!
まるで高級ホテルの食堂だよ 」
器人形
「 お褒め頂き有り難う御座います。
生活に密着した便利な古代魔法を活かせた結果です 」
マオ
「 へぇ~~。
〈 器人形 〉も古代魔法を使えるんだ?
初めて知ったよ 」
器人形
「 戦闘用〈 器人形 〉ではないので、戦闘用魔法の使用は出来ませんが、私生活の助けになる魔法のみ使用が出来る様にとセロフィート様から改良されています 」
マオ
「 えっ、改良されてる??
〈 器人形 〉って改良出来るんだ??
セロは改良するのが好きだな~~ 」
器人形
「 改良と言っても魔法陣を変えるだけです。
セロフィート様にとっては魔法陣の書き換えは造作もない事です 」
マオ
「 魔法陣って書き換えが出来るんだな。
〈 テフ 〉が原動力りょくだと、古代エンシェント魔法マジックも〈 テ原質フの源みなもと 〉を対価にする事になるのか? 」
器人形
「 はい。
〈 テ原質フの源みなもと 〉が対価なら、制限が無く古代エンシェント魔法マジックが使えるので助かります 」
マオ
「 魔法マジックが対価だと制限が有るもんなのか? 」
器人形
「 主人あるじから供給される魔法マジックには限界が有りますので、その範囲内ないで魔法マジックを使う事になります。
そうなると制限せざるを得ないんです 」
マオ
「 へぇ~~。
〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉も大変なんだな。
魔法マジックを使い過ぎると魔法マジック切ぎれを起こして止とまっちゃう訳だ? 」
器人形
「 そういう事です。
大昔の〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉は、魔法マジックの消費率を減少させる魔法マジック道具アイテムを装着して動いていたんですよ 」
マオ
「 へぇ~~。
そんな優すぐれた魔法マジック道具アイテムも有ったんだな。
それって魔法マジックが使える人なら誰にでも使えたのか? 」
器人形
「 いいえ。
〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉専用に作られた魔法マジック道具アイテムですから、〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉以外の使用は出来ませんでした。
〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉の存在を知らない人間にと・っ・て・は・無意味なガラクタに過ぎません 」
マオ
「 ふぅん……そうなんだ。
〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉って、今でも天使族なら動かせたりするのか?
古代人も可能なのか? 」
器人形
「 大昔に使われたいた〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉の大半は戦争の為に改良されてしまい、古代兵器として利用されました。
1体も残っていないと思われます。
アチ達はセロフィート様から〈 テ原質フの源みなもと 〉で構成された〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉なので、セロフィート様にしか扱えない様ようになっています。
セロフィート様の魔法マジック以外には干かん渉しょうされない古代エンシェント魔法マジックで守られているんです 」
マオ
「 じゃあ、セロがそ・の・気・に・ならないと悪用されないって事か── 」
器人形
「 セロフィート様は〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉の悪用はされませんよ。
〈 テ原質フの源みなもと 〉へ変更させる事が可能ですから── 」
マオ
「 それもそっか!
古代兵器として “ 悪用された ” って事は、古代人は〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉の存在を知らないって事になるのかな? 」
器人形
「 そうですね。
≪ 天上界 ≫から≪ 地上界 ≫へ降り立った天使族は避難民ばかりで極ごく少しょう数すうの生いき残りだと伺うかがっています。
古代兵器に改良される前まえの〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉を知っていた天使族は居いないでしょう。
何なにせ古代兵器として悪用される様ようになってから少なくても1万年以上は過ぎていましたから── 」
マオ
「 えっ──??
そんなに遥か昔の事なのか?? 」
器人形
「 そうなります。
ですから、ギルド長レスタ・グインノルチも長なが生いきではあるでしょうけど、〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉の存在は知らないと思います 」
マオ
「 そ…そうなんだ……。
スケールのデカいドラマが有るんだな……。
セロなら当とう時じの古代兵器を〈 テ原質フの源みなもと 〉で構成する事も出来るんだよな? 」
器人形
「 可能ですね。
更に改良された古代兵器を〈 テ原質フの源みなもと 〉で構成する事も可能です。
ですがセロフィート様は古代兵器を使われないと思います。
何なんでも〈 テ原質フの源みなもと 〉に変換させる事が出来ますから── 」
マオ
「 そ…そだな……。
〈 テ原質フの源みなもと 〉に変換させるんだから、態わざ々わざ使う事ないよな?
( ──まぁ、セロなら玩具おもちゃの1つとして使いそうだけどな~~ )」
マオは〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉が用意してくれた料理を食べながら思う。
セロフィート
「 朝から随分と物騒な話はなしをしてますね 」
マオが〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉が作ってくれた出来立ての料理に舌した鼓つづみを打ちながら食べていると、背はい後ごからセロフィートが気配を消した状態でひ・ょ・っ・こ・り・と現あらわれ、マオに声こえを掛ける。
セロフィート
「 楽しそうですね。
ワタシも交まぜてください 」
マオ
「 わあっ!? 」
セロフィートに耳元で囁ささやかれたマオは驚いて悲鳴に近い声こえを上あげた。
マオ
「 セ…セロぉ!?
耳元で囁ささやかないでくれよぉ!!
ドキドキするだろうがっ!!(////)」
セロフィート
「 御早う、マオ。
ドキドキしてもらえるとは嬉しい反応です♪ 」
マオ
「 朝からか・ら・か・う・な・よ! 」
セロフィート
「 昨さく夜やはあ・ん・な・に・甘えてくれたのに──、今け朝さは随分と素そっ気け無ないですね、マオ 」
マオ
「 そんなに甘えてたかな?!
何なんにも覚えてないんだけど?? 」
セロフィート
「 それは酷ひどいですね、マオ。
ワタシは悲しいです… 」
マオ
「 微塵も思ってないだろぉ~~ 」
セロフィート
「 そんな事は無いです。
マオの心こころ無ない言葉に傷付きました 」
マオ
「 オレは毎日、傷付いてボロボロだけどな! 」
セロフィート
「 はいはい。
そういう事にしときましょう。
ワタシにはフルーツティーを 」
器人形
「 畏かしこまりました 」
セロフィートの注文を聞いた〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉は、ペコリ…と頭を下さげてから厨房へ去った。
セロフィート
「 マオが欲しいなら古代兵器を〈 テ原質フの源みなもと 〉で構成しますけど 」
マオ
「 い…要いらないよ!
戦争に悪用された古代兵器なんて物騒過ぎるだろ!
冗談じゃないよ 」
セロフィート
「 人形サイズならど・う・です?
原動力りょくとなる〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉は入はいりませんから動きませんよ 」
マオ
「 うん?
原動力りょくの〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉って何なんだよ??
〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉を改良して古代兵器を作ったんじゃないのか? 」
セロフィート
「 改良した〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉を古代兵器の中に入いれ、原動力りょくにして使ったのは最初の頃です。
時代の移り変わりに合わせ、徐じょ々じょに〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉自じ体たいを古代兵器の姿に変えたのです。
最終的には天使族と古代兵器との融合を経へて “ 破壊神 ” と呼ばれる古代兵器が完成しました。
欲しいです? 」
マオ
「 要いらないよ!!
何なんだよ、天使族と古代兵器との融合ってさぁ!
無茶苦茶物騒な話はなしじゃないかよ 」
セロフィート
「 同族を犠牲にしてでも余よ程ほど戦争に勝ちたかったのです。
勝っても滅んでしまいましたけど 」
マオ
「 天使族は滅んだのか? 」
セロフィート
「 殆ほとんどの≪ 浮うき島じま ≫は海へ落下し、海底へ沈みました。
戦争に勝てても不ふ治じの病やまいには勝てません。
当とう時じは原因不明の病やまいを完治させる古代エンシェント魔法マジックは存在しませんでしたし── 」
マオ
「 不ふ治じの病やまいが≪ 天上界 ≫に蔓まん延えんしたのか? 」
セロフィート
「 天使族も正体不明の病びょう原げん体たいが引き起こす病やまいには完全に御手上げでした 」
マオ
「 …………………………戦争を引き起こした罰バチが当たったって事か? 」
セロフィート
「 “ 罰バチ ” と言うより “ 合図 ” です。
戦時中ちゅうにも掛かってました。
天使族があ・ら・ゆ・る・形で起こる “ 合図 ” に気き付づけなかったが故ゆえに蓄積した過去のツケが未来に現あらわれただけの事です 」
マオ
「 未来の天使族は過去の天使族のと・ば・っ・ち・り・を受ける羽目になった──って事かよ。
何なんか理不尽で不憫だよな…… 」
セロフィート
「 ふふふ…。
滅び去った時代の話はなしです 」