⭕ ギルドに加入 1
──*──*──*── 村外れのギルド
──*──*──*── ギルド・正門前
セロフィート
「 此処から先は “ ギルド ” の私有地になります 」
マオ
「 はぁ……はぁ…はぁ……はぁ…………やっとかよ……。
何で此処ってこんなにモンスターとの遭遇率が高いんだよ!
1本道なのに………… 」
セロフィート
「 故意にモンスターの出現率を高めているのでしょう 」
マオ
「 はぁぁぁぁぁぁ??
モンスターの出現率を上げてるぅ??
何で態々そんな事するんだよぉ…… 」
セロフィート
「 敢えてモンスターの出現率と遭遇率を上げ、加入を希望する冒険者を拒んでいるのでしょう 」
マオ
「 だから何でだよ?? 」
セロフィート
「 ワタシが知る訳ないでしょうに。
真相はギルド長さんに尋ねるとしましょう 」
マオ
「 流石に私有地の中でモンスターと遭遇する事は無いよな? 」
セロフィート
「 さて、どうでしょう。
態々モンスターの出現率,遭遇率を上げるくらいです。
用心するに越した事はないでしょう 」
マオ
「 …………………………マジで勘弁してほしいんだけどな~~ 」
セロフィート
「 ふふふ…。
ワタシはマオの勇姿を見れて嬉しいです 」
マオ
「 『 楽しいでぇす♥ 』の間違いだろぉ~~ 」
セロフィート
「 ふふふ♪
君と居ると退屈しませんね♪ 」
マオ
「 ムッ!
“ 君 ” って言うなよ!
他人行儀じゃないか 」
セロフィート
「 はいはい。
気を付けます 」
私有地の正門の前で一通りの言い合いを済ませたマオとセロフィートは、“ ギルド ” の私有地へ足を踏み入れた。
──*──*──*── ギルド・敷地内
“ ギルド ” の正門は施錠されておらず、簡単に開いた。
不法侵入の如く、セロフィートは平然と正門を開け、“ ギルド ” の敷地内へ足を踏み入れる。
マオはセロフィートとは反対に不安そうな面持ちで敷地内へ入ると正門を閉めた。
開けた時と同時に「 キィ…… 」という音を立てながら閉まる。
敷地内は人手が無く手入れが行き届いていないのか──、態と手入れをせず放置しているのか──、手入れをするのが面倒で怠っているのか──、手入れをする程の元気がギルド長に無いのか──、派手に荒れ果てており、様々な雑草が伸び放題となっていた。
マオ
「 どひぇ~~~~!
オレより高い雑草が生えてるぞ!
予想以上のカオスっぷりだな…… 」
セロフィート
「 おや──。
マオ、見てください。
スライムが居ます 」
マオ
「 スライムぅ。
何で “ ギルド ” の敷地内にスライムが居るんだよ? 」
セロフィート
「 様々な色のスライムが生息してます。
属性に依って色が異なるのでしょう 」
マオ
「 スライム屋敷かよ……。
倒して良いのか分からないな 」
セロフィート
「 敵意はないです。
人馴れしている様です。
もしかしたらギルド長さんが放し飼いにしているスライムかも知れません 」
マオ
「 う~~ん…………じゃあ、ギルド長はテイマーかも知れないって事かな? 」
セロフィート
「 可能性の話です。
違うかも知れませんし 」
マオ
「 何はともあれ、下手に敵意の無いスライムを倒す訳にはいかないよな 」
マオとセロフィートは敷地内に生息しているカラフルなスライム達をスルーしながら奥に見える建物を目指して慎重に進む。
セロフィート
「 噴水ですね 」
マオ
「 水が出てないな。
カラッカラじゃんか 」
セロフィート
「 立派な石像です。
翼が6枚生えている人物の石像ですね 」
マオ
「 亜人種かな?
翼が生えてる亜人種って言えば、人獣属だよな?
人間と同じ容姿をして背中に鳥の翼を生やしてる── 」
セロフィート
「 有翼種族──有翼人の事です?
その場合、翼は2枚です。
翼を2枚以上生やす種族は天使族しか居ません。
天使族の末裔──古代人をモチーフに作られた石像かも知れません 」
マオ
「 古代人?? 」
セロフィート
「 仮にそうなら浪漫が有ります 」
マオ
「 浪漫ねぇ~~。
──噴水がコレだと井戸も枯れてそうだな 」
セロフィート
「 マオ、行きましょう。
もう直ぐ、着きます 」
マオ
「 やっとかぁ~~。
何か雲行きが怪しいからさ、早く建物の中に入りたいよ 」
セロフィート
「 そうですか。
今夜、宿泊させていただけないか尋ねてみましょう 」
マオ
「 断られたら外にテントを張る事になるのか? 」
セロフィート
「 その場合は私有地の外になるかも知れません 」
マオ
「 嫌だぁ~~~~!!
モンスターとの遭遇率が高い森でキャンプするとか自殺行為じゃないかよ! 」
セロフィート
「 何が自殺行為ですか。
ワタシが居ますし、安全に朝を迎えられます 」
マオ
「 ……………………それは──、そうだろうけど…… 」
セロフィート
「 不安がらないでください。
ワタシの結界は地球一安全です 」
マオ
「 そだな── 」
マオとセロフィートは屋敷── “ ギルド ” の正面玄関に到着した。
マオ
「 はぁ~~…………立派な扉だなぁ~~。
扉だけな……。
随分と痛んでる様に見えるけど…………雨漏りとか大丈夫なのか?? 」
セロフィート
「 人が暮らしていても手入れをしなければ、劣化し続けます。
辛うじて現状を維持出来ている──という感じでしょう 」
マオ
「 台風が来たらヤバそうだよな? 」
セロフィート
「 扉の前で立ち話も何ですし、お邪魔しましょう 」
マオ
「 そ、そうだな── 」
セロフィートは立派な扉のノブを掴み、音を鳴らす。
然も当然の様に扉を開け、建物の中へ入る。
堂々としているセロフィートと違い、オズオズしながらマオも建物の中へ入り、静かに扉を閉めた。
中へ入ると開いた口が塞がらない程──、一時的に言葉を失い愕然としてしまう程の荒廃様だった。
◎ 訂正しました。
他人行儀じゃないかよ 」─→ 他人行儀じゃないか 」
正門には施錠されておらず ─→ 正門は施錠されておらず
立派な石像ですね。─→ 立派な石像です。