⭕ 続・魔獣討伐 2
セロフィートはモンスターの群れに睡眠魔法を使い爆睡させる。
モンスター達は地面に倒れてしまい、そのままピクリともしない。
セロフィート
「 ボルロレさん、今の内にトドメを刺してください 」
ボルロレ
「 あ、あぁ……。
然し…凄い威力だな。
こんなに多くのモンスターを1度に眠らせる事が出来るなんて…… 」
セロフィート
「 使う頻度が多いですから、熟練度も高いのです 」
セロフィートとボルロレは言葉を交わしながら、地面に倒れて眠っているモンスターにトドメを刺して行く。
ボルロレ
「 然し……森の中でモンスターが群れて行動するとか珍しいな。
これだけのモンスターを《 キャンプ地 》迄どうやって運べば良いんだぁ~~!! 」
セロフィート
「 それなら大丈夫です。
便利な魔法の袋が有ります。
この中へ入れて運びます 」
ボルロレ
「 便利な袋を持ってるんだな 」
セロフィートは魔法の袋の中にトドメを刺されたモンスターの死体を次々に回収していく。
モンスターの死体は魔法の袋に吸い寄せられ、勝手に魔法の袋の中へ吸い込まれて行く為、セロフィートは何もしていない。
セロフィート
「 これで当分、お肉には困りませんね♪ 」
ボルロレ
「 そ、そうだな…… 」
ボルロレはモンスターが群れていた周囲を散策してみる。
するとモンスターに喰われた後の様な死体を発見してしまう。
死体が着ている制服には見覚えがあった。
ボルロレ
「 ………………まさか…………嘘だろぉ!?
セロフィートぉ~~、此方に来てくれぇ!! 」
セロフィート
「 どうしました、ボルロレさん 」
ボルロレ
「 セロフィート、これを見てくれ。
この死体、オレ達と同じ制服を着てるんだ!
魔獣討伐に参加した冒険者だと思う── 」
セロフィート
「 そうでしょうね。
ボルロレさん、どうやら被害者は彼だけではない様ですよ 」
ボルロレ
「 えっ?!
それってどういう── 」
セロフィート
「 魔獣討伐中にモンスターに襲われて命を落とす冒険者も居る──という事でしょうか?
取り敢えず、班長へ報告しましょう。
死体の放置をしては、動物だけでなく別のモンスターを呼び寄せてしまい兼ねません。
《 キャンプ地 》へ運びましょう 」
セロフィートは魔法の袋を使い、ボルロレが見付けた冒険者の死体を回収する。
セロフィート
「 魔獣討伐に参加する冒険者は手練ればかりの筈ですよね?
彼等が魔獣と遭遇する事、モンスターと遭遇する事は有っても、無惨に喰い千切られた状態で見付かるとは──。
今迄にも有る事なら必要以上に心配する事は無いでしょうけど…… 」
ボルロレ
「 幾ら何でもそんな話は先輩達から聞いてないな……。
班長と副班長に報告すれば、他の班と連絡を取る事も出来るそうだから、今は戻るのが最優先事項だよな 」
セロフィートとボルロレは《 キャンプ地 》を目指して森の中を歩く。
セロフィートは周囲に液体を撒きながら歩く。
ボルロレ
「 セロフィート、さっきから何を撒いてるんだ? 」
セロフィート
「 これは聖水の一種です 」
ボルロレ
「 せいすい?
何だそりゃあ?? 」
セロフィート
「 大きな≪ 街 ≫の《 神殿 》で販売されている神聖な水です。
聖なる水と呼ばれている事から “ 聖水 ” と呼ばれ、親しまれている有り難い水です 」
ボルロレ
「 へぇ……森から出ないから≪ 街 ≫には行った事が無いけど、変わったもんが売られてるんだな 」
セロフィート
「 モンスター除けの効果のも有ります。
周囲に撒けば、モンスターが足跡を辿り、後を付けて来る危険を防げます 」
ボルロレ
「 そうなのか?
凄い水なんだな、せいすいってのは! 」
セロフィート
「 皇帝に遣える皇位神官の聖水は皇族や貴族にしか使えませんけど、高位神官の聖水は《 神殿 》に寄附さえすれば平民でも貰える品です。
寄附金は《 神殿 》が信仰神として崇め奉っている〈 大陸神ローダルドタ 〉への供物です。
神官達の懐へ入るこ事なく、きちんと《 神殿 》の運営費,修繕費に使われる事が理想的です 」
ボルロレ
「 あぁ~~それは難しいかもだな。
神官だって人間だし、金は大好物だろ? 」
セロフィート
「 その通りです。
近年の神官は己の崇高な使命を忘れ、私腹を肥やす為に “ 寄附 ” を悪用し、金銭を集める為の手段としています。
嘆かわしい事です 」
ボルロレ
「 神に遣える身だなんて綺麗事を抜かしては、金を持ってる信心深い街民達を騙してる訳か── 」
セロフィート
「 〈 大陸神ローダルドタ 〉の信頼を裏切り、冒涜している自覚も、罪深く罰当たりな行いをしている自覚も皆無な神官が多くなりました。
自覚はしていても犯罪に手を染めている真っ黒な神官も居ます。
〈 大陸神ローダルドタ 〉の実在を信じられない脱落しきっている神官達が聖職者として〈 大陸神ローダルドタの教え 〉を私利私欲の為に悪用している様は実に嘆かわしいです 」
ボルロレ
「 信心深い人ってのは良い奴が多いから、どうしても悪人の被害者になり易いんだな 」
セロフィート
「 とはいえ、聖水の効果は本物ですし、聖水の素晴らしさは変わりません。
ボルロレさんにも聖水を何本か渡しておきます。
危険が迫った時には躊躇せず使ってください。
生き残る事が最優先です 」
ボルロレ
「 良いのか?
有り難うな(////)」
セロフィート
「 これもペアとなった誼です。
ボルロレさんに死なれては目覚めも悪くなりますし 」
ボルロレ
「 ははは……。
いざって時には、遠慮無く使わせてもらうよ! 」
聖水を撒いている効果なのか、セロフィートとボルロレは動物やモンスターと遭遇する事も無く《 キャンプ地 》へ到着した。
◎ 訂正しました。
無いでしょうけど……。─→ 無いでしょうけど…… 」
きちんと(・)の運営費,─→ きちんと《 神殿 》の運営費,
寄附金は ─→ 寄附金は《 神殿 》
〈 大陸│神ローダルドタ 〉─→ 〈 大陸神ローダルドタ 〉