⭕ 魔獣討伐 1
──*──*──*── 1ヵ月後
──*──*──*── 村
──*──*──*── ギルド紹介所・前
いよいよ、魔物討伐の日がやって来た。
魔物討伐に参加する冒険者達は、≪ 村 ≫に在る《 ギルド紹介所 》の前に集まっている。
所属している “ ギルド ” は違うけど、討伐参加者は皆御揃いの制服だ。
所属ギルドのメンバーで固まらない様、既に班分けがされていた。
セロもレスタさんもオレも別々の班に振り分けられている。
何処のギルド所属なのか判別が出来る様、制服の背中にはギルドのトレードマークとギルド名が刺繍されている。
森が広大な事もあり10班に分けられていて、討伐区域も既に指定されている。
班員数は15名 ~ 20名と決まっているみたいだ。
森に入る前に各班で集まり、顔合わせも兼ねた自己紹介をするのが決まりらしい。
レスタさんは魔獣討伐の常連らしいから、何処の班に入っても慣れっ子だろうけど、セロは大丈夫かな?
セロは相手を逆撫でして面白がる悪い癖を持ってるから、セロと一緒になった班員達が悪意に満ちたセロに振り回されないか心配で堪らない。
セロと同じ班だったら良かったのに、まさか班分けされて離れる事になるなんて……。
これは「 御愁傷様 」としか言えない。
セロと一緒になってしまった冒険者達の御冥福を祈らせてもらおうと思う。
南無ぅ~~~~。
冒険者
「 俺はヘレイムだ。
ギルド “ アルギトの剱 ” のメンバーだ。
第8班の班長に任命された。
宜しく頼む 」
冒険者
「 自分はマルクスと言います。
ギルド “ ゼルカディ ” のメンバーです。
第8班の副班長に任命されました。
宜しく御願いします 」
各班共に円になってから、簡単な自己紹介から始めるらしい。
班長と副班長の自己紹介が済むと他の班員達も左回りに簡単な自己紹介をしていく。
オレが担当する第8班は17名も居る。
比較的に若い冒険者が多い。
その中でもオレが断トツで背が低い。
「 何で子供が混ざってるんだ 」って言わんとしてる視線が刺さってチクチクと痛い。
マオ
「 オレはマオ・ユーグナルです。
所属ギルドは────。
こう見えて20歳で、成人してます。
子供扱い無用です!! 」
一応、自己紹介で「 成人してる 」って事をちゃんと伝えたけど、笑われたぁぁぁぁぁあ!!
オレ、完全に舐められてるぅ~~~~。
これはもう、魔獣を倒して実力を見せ付けないと無理だ。
自己紹介が終わると、渡された地図を見ながら作戦会議をする。
森の中の地形が詳しく書かれている。
担当区域内を4つに区切り、4名1組で1ヵ所を担当するみたいだ。
第8班は17名だから、1組だけ5名になる。
どうやら、どの組にオレを入れるかで早くも揉めているみたいだ。
背が低くて華奢で小柄な童顔少年のオレの事が “ 足でまといになる ” とでも思われてるって事かな?
大丈夫かな、この班……。
見た目で判断したらいけないって事、冒険者なら心得てると思うんだけど…………≪ 大陸 ≫に依って冒険者の考えって違うのかな?
不安になって来たかも知れない。
マオ
「 あの──、オレは1人でも平気です。
1人の方が動き易いですから。
初めての討伐だし、様子を見ながら動きたいので── 」
なんて意見を出したら、何故か滅茶苦茶睨まれた。
何で機嫌を悪くするんだ??
う~~~~ん、分からん。
オレの言い方が失礼だったとか??
森の中へ入る前の作戦会議と必要な準備を済ませた班から、次々に森の中へ入って行く。
いよいよ、第8班も森の中へ入る。
──*──*──*── 森の中
最低でも3ヵ月は森の中で生活する事になるらしいから、人数分の食料が尽きない様に気を付けないといけないらしい。
食料となる肉とか果物,木の実,山菜,茸なんかは森の中で調達する必要が有るらしい。
なるべく安全そうな場所に《 キャンプ地 》を作ってから、魔獣討伐に備えるんだとか。
オレはセロから魔法の袋を数枚貰ってるから、その中に採った果物,木の実,山菜,茸を分けて入れながら歩く。
調理に使えそうな薬草っぽいのも生えてるから取り敢えず採っては、魔法の袋の中へ入れとく。
セロから教えられた知識、キノコン達が前以て調べてくれた植物,食物の知識が役に立ってくれるから助かる。
肉に関しては、動物やモンスターを狩って調達するのかな?
“ 念の為 ” っていうか、“ 備え有れば ” って事で、個人的にも色々と持参して来てはいるんだ。
腰に付けてるポーチの中には、キノコン達が用意してくれた食材,調味料,香辛料,香草だけじゃなくて、キノコン達が厳選してくれた便利なキャンプ用品,アウトドア用品,食器,食具,調理器具,調理道具なんかも入っている。
いざとなれば、1人になっても何とか生きられるだけの準備は万端だったりする。
現地で調達の出来る物で間に合わせるのが理想的だとオレは考えているから、個人で用意した物を使わないで済むなら、それに越した事はないと思う。
魔獣討伐に初めて参加するぺーぺーな訳だし、でしゃばり過ぎない様に気を付けないとな。
オレはセロとは違うから、先輩,年長者を敬う心を忘れないぞ!
マオ
「 ──マルクス副班長、肉の調達は動物やモンスターからされていますか?
倒した魔獣の肉も食されているんですか? 」
オレは新参者だから、なるべく失礼に当たらない様に丁寧な言葉を心掛けて、質問しないとだよな。
ボロが出ない様に意識しないと──。
マルクス:副班長
「 ………………倒した魔獣を食べたりはしないな。
食べる冒険者も居るが、魔獣の解体が出来る冒険者が居ないと無理だ。
下処理も念入りにしないといけないから、普通の冒険者は先ず、食べない。
肉は基本的に動物を狩って調達する事になっている。
モンスターを食べる冒険者も居るには居るが──、見た目がグロテスクらしいから、食べるには相応の勇気と度胸が必要とは聞いてはいる 」
マオ
「 動物を狩って調達するんですね。
《 キャンプ地 》が決まったら、周辺に罠を仕掛けても良いですか? 」
マルクス:副班長
「 罠を仕掛けるって……作れるのか? 」
マオ
「 簡単な罠だけになりますけど──。
それなりに作れます 」
マルクス:副班長
「 肉が足りなくなったら頼むよ。
必要無いのに狩るのは良くないからな 」
マオ
「 分かりました。
肉が必要になった時は教えください。
直ぐに使える様に幾つか作り置きしときますから── 」
マルクス:副班長
「 あぁ、班長には伝えておく 」
マオ
「 有り難う御座います!
えと──、魔獣から素材は取れますか? 」
マルクス:副班長
「 取れるだろうが、素材なのか判断を出来る者が居ないと無理だな。
鑑定資格を持つ冒険者は稀少だ。
第8班には居ないから魔獣から素材回収はしない。
倒したら終わりだ 」
マオ
「 そうなんですね……。
教えてくださって有り難う御座います!
助かりました(////)」
此処は感謝の気持ちを表しつつ、上目遣いで御礼を言っとこう。
背が低いから自然と上目遣いになっちゃうんだけどな~~。
◎ 訂正しました。
オレが断トツで背が高い。─→ オレが断トツで背が低い。
分けて入()れながら歩く。─→ 分けて入れながら歩く。