学校案内
「学くん!」
学校案内に出掛けようとすると、よく知っている男の子が学くんを呼び止めた。
「学童行こう!」
この子の名前は、福井空くん。
私にとっても懐いてくれている子なの。
空くんも本当に可愛くて、ツヤツヤの黒髪に、色白な肌。よく見たら青色の目をしているのがとても綺麗!
凄く頭が良くて、時々びっくりする様な事を言うんだよね。
見た目とのギャップが凄いと言うか。
「あー、ごめん!おれ、これから杉田さんに学校を案内するんだ。」
「わかった。じゃあ先に行ってるよ。」
「おう!」
空くんは駆け足で学童に向かった。
...と思ったら、Uターンして戻って来た。
「自己紹介してなかった。
おれは福井空!じゃあね。」
わざわざ自己紹介しに戻って来てくれたみたい。
「(ありがとう!空くん!)」
本当、良い子だよなぁ...。
◇
「ここがほけん室で、ここが...」
学くんと一緒に、校舎を見て回る。
「?」
1階の奥に、妙に他とは雰囲気を漂わせている扉があった。
「長田くん、この部屋は?」
「わかんない!」
「え!?」
「先生が、あけちゃダメって。」
何それ!?開かずの間!?
ちょっと気になるけど...。
「そ、そうなんだ。」
学くんを巻き込む訳には行かないので、
気にしないでおく事にしよう。
◇
「杉田さんは、どこ小だったの?」
「え!!?えっと...佐久良小学校!!」
私は咄嗟に自分の母校を答えた。
「さくら小学校...?どこ?」
「ここから車で20分ぐらいの所だよ。」
「へぇ〜そうなんだ。」
◇
3階にある音楽室。
そこには音楽の先生がいた。
「あ、長田くん!」
「先生!」
「その子は確か、転校生の?」
「はい。杉田こはるです。」
「杉田さん!先生は音楽の授業をしています。植村です。よろしくね!」
「よろしくお願いします。」
とても優しそうな先生だ。
私の母よりちょっと若いぐらいかな?