転校生杉田こはる
ランドセル、今は色んな色がありますよね!
しかも軽い!
最初からリボンが着いていたり、本当に可愛いです♪
詩森小学校は、創立120年になる、歴史ある小学校。とにかく立派な校舎だ。
1学年1クラスで、 生徒数は少ない。
職場の先輩に、詩森小学校の卒業生の方がいるんだけど、その当時は3クラスあったそうだ。
「ランドセルなんて18年振り!」
ピンク色の可愛いランドセルを買った。
勿論、元の姿に戻ったら立て替えるからと約束した。
「最近のランドセルって、こんなに軽いのね。」
「そうだよー。軽いし可愛いの。」
私が小学生の頃はこんな可愛いランドセルなんか無かったから、わくわくする。
◇
詩森小学校に転校するにあたり、色々な手続きを終え、今日から私は小学生!!
「3年生の担任の、美苑です。」
担任の先生は美苑先生。とても若い女の先生だ。確か新卒だって言っていた気がする。
「(若い先生だなぁ…)」
「(多分新卒だから、22歳ぐらいじゃない?)」
「杉田さん、お子様の事で話しておきたい事はありますか?」
「え…っと、そうですね。食べ物に関しては好き嫌いは殆どありませんし…。
少々ズボラな所がありますが、基本問題ないかと。」
“少々”とか思ってないでしょ!!
「成程。見た感じ落ち着きもありますし。」
「(30歳だからなぁ!)」
「これから新しい環境に慣れていく事で、
困った事が出来たら、遠慮なく仰って下さい。まだ新人で力不足な所も多々ありますが…。」
「よろしくお願いします。」
私と美帆は、美苑先生にお辞儀をした。
「それじゃあ、こはるちゃん。教室まで一緒に行こうか。」
「はい。」
「杉田さん、お忙しい所ご足労頂き、ありがとうございました。」
私は美苑先生と一緒に教室まで向かった。
◇
転校ってイベント、人生で1度だけで良いからやってみたかったんだよなぁ…。
まさかそれを30歳になって経験するとは。
「杉田さん、皆の前で話せるかな?」
「はい、大丈夫です!」
「良かった。じゃあ、扉開けるね。」
美苑先生が扉を開けると、よく知った顔が数人。後は見た事ない子達だった。
「今日から皆と一緒に勉強する、杉田こはるさんです。」
「あ…す、杉田こはるです!!
よろしくお願いします!!」
「皆拍手〜!」
拍手が教室中に響く。
私はぺこりと頭を下げた。
「こはるちゃんの席は…長田くんの隣ね。真ん中の列の1番後ろの席。」
「はい。」
皆に見守られながら、席に向かった。
ランドセルを机に置き、椅子を引いて座った。