新しい家族、爆誕
「小学生になったら、いくらでも子供達の授業風景見れるよ!!毎日が参観日!!」
「自分も授業を受けないと行けないのは、参観日ではないのでは…。」
でも、この姿なら…参観日よりももっと身近で子供達の授業風景が見れる。
「私…小学生になる!」
「何か凄いパワーワードね(笑)
何年生になる?」
「うーん…」
私が職場でよく懐いてくれていた子は3年生の子が多いから、3年生が良いなぁ。
チラッとガラスに映る自分の姿を見ると、
身長も大体3、4年生位だと思う。
杉田家に戻ると、誠斗くんがコーヒーを飲んでいた。
「ただいま!」
「おかえり。暑かっただろ。」
「うん。日傘さしててもあっついよ〜。」
買ってきた物を冷蔵庫の中に入れていく。
「誠斗。後でお姉ちゃんの事詳しく説明するね。」
「美帆、どう言う経緯で私がこの姿になったかは、私が説明する。」
私は誠斗くんに、朝から今までの事を細かく説明した。
「何度聞いても信じられないな…。
こんな症例診た事ないから…。」
「ですよね…」
あったら知りたいよ。
「でも、美帆が信じているんだから、嘘ではないんだと思う。見た目も声も、お義姉さんとそっくりだし。」
「誠斗…!!」
「ありがとう、誠斗くん!!」
「それでお義姉さん、これからどうするんですか?」
「さっきも美帆と話していたんだけど、何もしない訳にはいかないから、元に戻る方法を探しつつ、小学校に通おうと思うの。」
「それでね、私と誠斗がお姉ちゃんの親代わりになれたらなと。」
「!」
ごめんね誠斗くん…。いきなりこんなこと言って。
「あの、嫌だったら断ってね?」
「僕は構わないよ。丁度部屋も余っているし、お義姉さんと一緒だと賑やかになりそうだ。」
「ありがとう…!!」
「僕も仕事の合間を縫って、似た様な症状が無いか探してみる。」
「お願い!」
私は今日から人前では、美帆を“お母さん”
誠斗くんを“お父さん”と呼ぶ事になった。
自分より年下の両親が爆誕したのだ。
「私は本名で暮らすのはちょっとどうかなと思うので、“杉田こはる”として詩森小学校に通おうかなって。」
「詩森?それなら隣の学区の國羽小学校の方が近く無いですか?」
「誠斗。」
美帆が誠斗くんに耳打ちをする。
「あぁ、なるほど。どうせ小学生になるなら、自分が仕事で見ていた子と一緒にいる方が楽しいか!」
「アパートや仕事の事は後でどうにかするとして…。これからよろしくお願いします!
“お父さん”“お母さん”。」
笑顔で告げると、2人は少しだけ恥ずかしそうにしていた。
「ひ、人前だけで良いから!!」
「“お父さん”…良い響だなぁ…。」