どうしてこうなった
「しっかし、どうしてこんな事になったの?」
「それは私が知りたいよ…。」
「何か心当たりは無いの?」
「心当たり…あっ」
私は、昨日の夜の事を思い出した。
2年生の女の子に、“先生は何かお願い事あるの?”と聞かれた事を思い出したんだった。
それで私は
『学童の皆が、普段どんな風に授業を受けているのかを、見てみたい』
ってビール片手に呟いたんだ。
そしたら、鈴の音と低い声が聞こえて…。
いやいや、そんな馬鹿な。
って思うけど、心当たりなんて、これしかない。美帆に全部話した。
「そんな馬鹿な…。」
「ですよね…。」
「でも実際目の前で、昨日まで30歳だった人が、急に子供の姿になっている訳だし…。
そういうもあるのかも…??」
「嘘みたいだけどね。」
と言うか嘘であって欲しい。
夢である事を願ってほっぺたを抓る。
「痛った!」
頬の痛み、はっきりしている頭の中。
やっぱり、これが現実なのか…。
◇
「ただいま」
お昼前、美帆の旦那さんが帰って来た。
「おかえりなさい!」
美帆の旦那さん、誠斗くんはお医者さん。多分夜勤だったんだろうな。
お邪魔して申し訳ない…。
「あれ、美帆。その子は?」
「あぁ…ちょっと信じられない出来事があって…。」
美帆は今までの事を簡潔に説明してくれた。
「…夜勤明けだから、疲れてるのかな…。」
「うん、やっぱりそう思うよね…。」
本当にごめんね…。
「えっと…お義姉さん…?かな??
ちょっと顔を見せて貰って良いですか?」
「う、うん!」
例え身内だとしても、顔を真剣に見られると、ちょっと緊張するなぁ。
「確かに、お義姉さんの面影はあるなぁ。
前に美帆が見せてくれた子供の頃の写真と全く同じだ。しかし、どうしてこんな事に…。
うーん…。」
「誠斗、後で詳しく説明するから、
1度寝たらどうかな?夜勤明けで疲れているだろうし。」
「うん、そうだね…。そうするよ。」
誠斗くんは私に軽く会釈をして、寝室に入って行った。