特等席
「うわぁ…!綺麗…」
「そうだね!」
夜空に打ち上げられた花火を2人で見上げる。
少し離れた所から、人のざわめきが聞こえる。皆あの場所で花火を見ているのだろう。
今、私と学くんが居る場所には誰もいない。
「ここから見えるなんて、知らなかった…。」
「そうなんだ。じゃあ、ここは特等席だね!」
「うん。」
チラッと隣の学くんを見ると、花火をワクワクしながら見上げる学くんの瞳が、
キラキラと宝石みたいに輝いている様に感じた。
「……綺麗…」
花火も、学くんの瞳もどっちも綺麗で、思わず声がもれた。
◇
5分程で花火の打ち上げは終わった。
「あっという間だったなー花火。」
「本当にね!あっという間。」
「もっと沢山見たかったなー!」
「そうだね。でも、パッと咲いてすぐに消えてしまう儚さがあるからこそ、花火って魅力的なんだろうね。」
「??」
大人になったら分かるよ。きっと。
「こはるちゃん、来年も一緒にここで花火を見ようね!」
「!!」
来年か…。その時私どうなっているんだろう…。元の姿に戻っているのかな。
それとも…。
「こはるちゃん?どうしたの?眠たい?」
「あ、違うの!!つい花火の余韻に浸っちゃって。」
「よいん?」
「何でもないよ。来年も一緒に見ようね!!」
「うん!!」
出来ない約束で学くんには申し訳ないけど、
私も学くんと一緒に花火を見たい。
と心から思ってしまった。




