楽しい時間はあっという間
トランポリン、滑り台、ボールプール…
夢中になって遊んだ。
社会人にになって、こんなに心の底から
“楽しい”と思える事なんてあまり無かった。
職場と家の行き来しかしなかったから。
「陽菜ー!そろそろ帰るよー。」
多佳子と学くんのおばあさんがいた。
「もうそんな時間かぁ。」
楽しい時間は本当にあっという間だなぁ。
「えー!まだ遊びたい!!」
「また今度連れて行ってあげるから!
今日は帰るよ。」
「陽菜ちゃん、帰ろう。」
「はぁい。」
「杉田さん、池田さん、またね!」
学くんも、そろそろ帰るそうだ。
「うん!またお祭りの時にね♪」
「長田くん、浴衣を選んでくれて本当にありがとう!」
感謝の気持ちを伝えると、学くんは少し照れた笑顔を見せてくれた。
◇
「こはるちゃん、良かったら家まで送るよ。」
「あ、行きで待ち合わせしていたの場所で、母が待っていてくれるって約束しているので。」
申し訳ないけど、多佳子の提案を丁寧にお断りした。
車で移動すること約10分。
待ち合わせ場所に着いた。
そこには日傘を持った美帆が待っていた。
「今日はおね…こはるがお世話になりました。」
「いえ、こはるちゃん、本当にしっかりしていて…!」
美帆の方をチラッと見ると、必死で笑いを堪えていた。
「…って、あれ?美帆ちゃん!?」
やっと気付いたか。
「吉田先輩!?」
誰よりも先に気付いた癖に、今気付いた振りをする我が妹。役者だな。
「ママ、知り合い?」
「うん。ママが中学生の頃の後輩。
美帆ちゃん子供いないって前言ってなかった?」
「実はちょっと事情があって、親戚の子供を預かっているんです。」
「そうなんだ。…あ、真帆は元気?」
あなたの目の前にいますよ。
「はい!元気にしていますよ!」
「真帆によろしく言っといてね!」
「はい!」
◇
「こはるちゃん!またお祭りの時に会おうね!!」
「うん!!」
陽菜ちゃんに手を振り返すと、車が出発した。
「よろしくだってさ。」
「聞いてたよ。」
「帰ろうか、お姉ちゃん。」
「うん。」
「どんな浴衣買ったの?」
「帰ったら見せるよ。」
◇
帰宅して、私は美帆に買った浴衣を見せた。
「何だかお姉ちゃんが選ばなさそうな可愛いデザインだね。」
「同じクラスの長田学くんって子が選んでくれたの。」
ショッピングモールで、隣の席の男の子と偶然出会った事を話した。
「選んでくれたのが嬉しくて、これはフリマアプリに出さずに大切にしようって思う。」
「うんうん!それがいいと思うよ!」




