表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/21

49話 天帝国家マーベラス2

49話 天帝国家マーベラス2



 コンタール斡旋所から中央広場を抜けて南側の高い石壁に囲まれた細い路地に入ると、そこはもう庶民が住む地域となっており縦型の同じような造りの家が立ち並んでいる。



 ジャスティスが住んでいたディズドも街の少し外れに行くとこんなような建物がズラリと並んでいた事を、ジャスティス本人は思い出していた。



『平民街』と呼ばれる場所の井戸がある広場の一角に、麻布を木枠の天井に張り付けただけの簡易的なテントが所狭しと並ぶ市場に、イークによってジャスティスとウルーガは案内された。



「わぁ、色んなものがいっぱいありますねぇ!」


 ジャスティスは市場を見るなり瞳を輝かせ開口一番に言った。


「おいおい。目当ては食料だろ?」


 そんなジャスティスにイークは呆れ混じりに苦笑する。



「あのパン美味しそうだな。あれにするか?」


 普段は物静かなウルーガまでも心なしか楽しげな雰囲気を見せており、彼はすぐそばにある屋台のかごに溢れんばかりに詰まったパンを指差した。



「え。僕もコレ食べたいです!」


 ジャスティスはウルーガが示したパンを一目見て瞳を輝かせた。小ぶりのロールパンに、縦に少し切り口を入れた中に香草やスライスした豚肉を焼いて挟みこんであるそのパンは、マーベラスでは最も需要ある『ポークサンド』と呼ばれるパンで、香ばしい匂いを醸し出すパンにジャスティスの鼻腔はくすぐられて彼のお腹を瞬時に空かせたのだった。



「じゃあこれをカインの分含めて十二個くらいか?」


 そう言いながらウルーガは小さな革の小袋を取り出して店主に注文をした。


「ジャスティス。お前の連れは『カイン』と言うのか?」


「あ、はい。あれ? イークさん、カインさんを知ってるんですか?」


「いや……」


 イークは少し歯切れ悪そうに首を横に振った。その様子をジャスティスは不思議に思ったが特に気にする事なく、イークとはその場で別れてジャスティスとウルーガは、カインが待っているであろうベネツィ都市の南門へと急ぎ向かった。






 ――平民街の細い砂利道に沿って歩みを進めていくと、左手に舗装された通路と繋がりこの通路は中心街へと続いている。舗装された道の南口は、約十メートルはあるだろう丸太を並べた外壁で囲まれており、南門は石材を重ねた大きな外門となっていた。


 ジャスティスとウルーガがその外門から出ると少し先に広々とした厩舎きゅうしゃがあり、そこには数台の荷車や馬車が置かれており、奥の小屋には立派な毛並みの馬が何頭かいるようだった。



 南門は、西に続く簡素な道と『ソリッド街道』と呼ばれる南に向かう道の二つがある。カインが待っていたのは西の向かう道の方で、そこで再会した彼らはカインに言われるがまま西の道を進む事になった。




「カインさん。今からどこに向かうんですか?」


 道すがらジャスティスがそう聞くと前を歩いていたカインが歩を進めながら振り返り、


「とりあえず、俺たちの『仮拠点かりきょてん』にいく」


 言いつつ、カインはジャスティスとウルーガが買ってきたポークサンドにかぶりついた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ