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大艦巨砲戦争  作者: 天照
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鋼鉄の咆哮…はためくZ旗勝利は我にあり

もはや航空爆撃は始まっている。

電文で既に此処にもその事実は伝わっていた。

もしそれが無かったとしても、この戦艦長門の艦橋から見える港から上がる黒煙で、容易に判断できたことだろう。

戦艦部隊は、単縦陣でオアフ島へ向けて進んでいる。

長門、陸奥、伊勢、日向、比叡、霧島の六隻の編成だ。

「目標までの距離はどのくらいか?」

壮年の司令官が砲術長に尋ねた。

「30000mちょうどです。後5000mで目視での着弾確認可能距離となります。」

双眼鏡を片手に測距儀についていた砲術長は、直ぐさま正確な距離を弾き出し、その戦隊司令官に伝えた。

司令官の名前は三川軍一、海軍中将である。

「よしわかった。主砲の準備は出来ているか?」

三川は砲術長に再び質問をした。

「はい……しかし、現時点では着弾の確認が難しいですが。」

「よい。主砲斉発用意だ。」

「了解しました。」

やり取りはほんの一瞬で終わった。

三川の命令は、砲術長の号令により兵士達に伝えられる。

同時に、隸下の戦艦にも同様の命令が伝えられ、各々がその時の為、仕事を始めた。

黒煙はもくもくと絶えることなく空高く昇っている。

色合いもより一層濃くなり、その深く先の見えない暗黒が、この後の戦争の行方を暗示しているようだ。

「さて、どうなるのか……」

三川はぼそっと呟いた。

視線は艦橋の窓ごしにその煙の方に向けられている。

両手を後ろに組み、肩幅程足を開き、まさに直立不動の体制だ。

三川は戦艦の威力というものを信じていた。

しかし過信はしていなかった。

彼は長く艦隊勤務を経験し、その動かし方を熟知していたからである。

巡洋戦艦金剛の乗組員にはじまり、分隊長、航海長、そして戦艦霧島の艦長となった。

その後は第二艦隊の参謀長に着任し、現在海軍中将としてこの部隊を率いている。

同時にそれ故、欠点も否応なく見えて来てしまった。

艦の鈍重さ、燃費、そして航空機には及ばない攻撃射程…

(これからは航空機の時代かな……まあ、私には関係のないことだ。)

三川は心の中でこう思った。

しかしやりきれないこの哀愁の念は何だろうか?

三川の胸には、何やら纏わり付く重い塊が残っているようだった。

人生を全否定された。

時代の変遷というものに……

「全砲弾装填完了!」

部下の声に三川の意識は現実に引き戻された。

目の前には相変わらず、黒いものが立ち上っている。

「艦長面舵、速度微速!」三川の声が艦橋中に響き渡った。

舵は切られ、艦は数秒間の沈黙の後にゆっくりとその体を右に曲げている。

同時に主砲塔はゆっくりと回転し、その黒光りする大砲の照準を彼方の目標に向けて定めた。

後続の艦もそれに倣い、その幾門もの砲筒の口を向けていることだろう。

「仰角よし!照準よーし!」

測距儀についていた砲術長が叫んだ。

後は司令官三川軍一の号令を待つのみである。

三川もその報告にゆっくりと頷く。

砲術長に向けられた視線は再びオアフ島に向けられた。

(私は最善を尽くすのみ。腹は決まった……)

「主砲斉発!皇国の興廃この一戦にあり!各員一層奮励努力せよ!」

まさに口火は切られたのだ。

雷鳴の如き轟音が響き、艦が揺れる。

煙がうっすらと視界を遮り、艦内を暗くした。

耳には砲撃の余韻が残り、まだそれが終わらないうちに新たな轟音が次に続いた。

陸奥が放ち、伊勢が放つ。

まさに絶え間無い一斉発であった。

 

 

真珠湾はまさに火の海であった。

雷撃で破壊された艦の装甲の間からは重油が流れ、それに引火し、火炎が海面を覆っているのだ。

陸上でも滑走路、武器庫、弾薬庫などの軍事施設は爆撃によって破壊され、不幸にも軽質油に引火した暁には、高々と黒煙を空に立ち上らせる結果となった。

しかし米軍も黙ってはいなかった。

「隊長!対空砲火が激しくなっています!」

後方で状況を観察していた部下が叫んでいる。

隊長、淵田美津雄中佐もそのことはわかっていた。

(やはり数が足りないか……)

心の中で淵田は思った。

なけなしの高射砲ではあったが、天高く火を噴きながら必死の抵抗を試みている。

しかしそのなけなしの対空砲火で、すでに数機の航空機が落とされてしまっていた。

すでに淵田も、一機の九七式艦攻が胴を貫かれ、火の手をあげながら地上にたたき付けられたのを目の当たりにしている。

次は自分かもしれない。

この恐怖と緊張は空を飛ぶ者にしかわからないだろう。

撃たれればもはや逃げる場所などないのだから。

どんなに自分の腕に自信があろうとこの気持ちは失くならず、心の奥底にはいつもうごめいていた。

「爆弾は全て投下しました。残弾はゼロです。」

「そうかわかった。他の奴らもそうだろう。全機帰還だ信号弾。」

「はっ!」

(ここからは長門の仕事だ。)

部下とのやり取りを終え、これ以上なにも出来ない踏ん切りをつけると、港で炸裂する砲弾の主である戦艦に後を託した。

しかし……

 

 

「隊長!三時の方向より敵航空機編隊接近!」

やはり足りなかったと淵田の思いは確信にかわった。「滑走路を潰しそこねたな…生き延びるぞ。ここは零戦の仕事だ。板谷らの腕を信じよう。」

淵田の額から汗が流れた。

仕事を終え、攻撃隊は西に向かう。

振り向けば、迎撃に向かう零戦隊が見えることだろう。

今此処に初めての空中戦が展開される。

遅れて申し訳ありませんでした。

内容も悪くなってしまいました。

時間を見つけて後に改善したいと思います。

感想などありましたらどしどしおよせください。

お待ちしてます。

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