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ベリィ先生と銃と俺

「やったね~、レンヤくん。的確な指示をありがと~。わたしでも活躍できた気がするよ~」

 ケガはないがスタミナを使い果たしたエマが歯を出してニッコリ笑っている。

 無邪気な太陽みたいな笑顔だ。

 この娘の無邪気な笑顔はこれから幾度となく俺を癒してくれるんだよな。

「いやいや。活躍出来た気がする、じゃなくて大活躍だったぜ」

 2人で謙遜しあい、健闘をたたえる俺達。


(なかなかやる2人ね。特にレンヤの機転と洞察力は鋭い。エマはエマで本人の自覚はなさそうだけど、武器の扱いのセンスがあるし、度胸もあるわね。これからが楽しみな2人だわ)

 静かに戦いを見守っていたベリィ先生は俺達の事を、こう評価していた様だ。


 グオオオオオオオッ!


 突然、何かの咆哮が響き渡る。


 おいおい。小鬼戦車の後の増援なんて知らないぜ…

 見ると、巨体の小鬼、もう小鬼とは呼ばないが、ゴブリンチャンピオンが手勢を引き連れて現れていた。


 マジか!?


 今からチャンピオン何かとは戦えないぜ。

「レンヤ。あのチャンピオンをどう見ますか?」

「どう、ですか?」

 俺は考えられる状況を推察する。

「強いて言えば、さっきの小鬼英雄と、このチャンピオンの勢力でこの辺りの縄張り争いでもしているとしか思えないな」

 ベリィ先生も頷く。

「私もそう思います。ですが…」

 ベリィ先生はショートマントを翻し、前に出る。

「あれらは貴方達の手に余ります。そこで見ていなさい。私が片付けます」


 !?


 ベリィ・アノーレが戦う…


 遂に、アレが見れるわけだ!


 ベリィ先生はゆっくり小鬼の群れに近づいていき、腰に下げていた自分の武器を抜く。


 ダン!ダン!ダン!


「うわぁ!な、何の音?雷みたいな音…」

 初めて聞く音にエマが驚く。

「あれこそが、ベリィ先生の伝家の宝刀、『銃』という武器さ」

 そう、ベリィ・アノーレはこの世界でも珍しい銃の使い手だ。

 むしろ、銃の先駆者といった方がイメージは近いかな。魔法技術が発達したこの世界では科学のかの字もない。

 銃自体は一部地域で使われていたそうなんだけどな。

「す、凄い。小鬼をどんどんやっつけてる…」

 ベリィ先生はもう一丁の銃を腰から抜き放つ。

 そのまま、やや上方に銃を放つ。

「あれ?今度は雷みたいな音がないね」

「ああ。あれがもう1つの銃。魔導銃だ。ほら、よく見てみな」

 ベリィ先生のもう1つの銃からはバレーボール大の魔力の球が撃ち出されていた。

「あれ?さっきレンヤくんが使った魔法と同じ魔法じゃない?」

「ああ、よく分かったな。あれはマナボールだな。魔導銃は魔法や魔力を撃ち出すことが出来るんだ」


 ベリィ先生が放った魔力球は空中で炸裂して無数の魔力の矢となって小鬼どもに降り注いで行く。

 本当ならもっとバンバン魔法を撃ち出すんだけどな。調子でも悪いのかな?

 

 ゴブリンチャンピオンは屈強な肉体を持っている。魔法防御力は低いが、マナボールの矢程度ではびくともしない。

「やはり、この程度ではチャンピオンには通じませんね」

 ベリィ先生は魔導銃に魔力を込めながら普通の銃で牽制している様だ。

 

 これは…凄いのが見れるぜ!


「見なさい、レンヤ。エマ。これが魔導銃の力です!」


 ベリィ先生は魔導銃から強力な魔法を撃ち出す!

 銃の回りに電光が迸りはじめる。

 なるほど、あの魔法だな!


蛇王雷毒衝(ヴァイパー・サンダー)!!」


 ベリィ先生は銃を媒体に黒魔法を放つ。


 黒魔法は、なんでもこの世界の魔王達の力を行使するものらしい。まぁ、そういう設定だな。

 ベリィ先生が使った魔法は6柱の魔王が1つ『蛇王アスタロト』の力を使う魔法だ。

 雷の蛇が這いずり、のたうち回る様に、敵に襲いかかる魔法だ。

 少しでもカスったら雷のエネルギーが毒の様に体内に浸入し、身体の内側からじわじわと破壊していく恐ろしい魔法だ。

 勿論、直撃をした時の威力はその比じゃあない。


 チャンピオンに直撃し、そこから無数の雷の蛇が回りの小鬼達に食らいついていく。


「す、すごい…」

「だろ?さすが先生だな」


 ゲーム内では見慣れた光景だったけど、実際に見た迫力は、ハンパないな、マジで。


「たしかに、これなら先生1人で小鬼の群れなんてどうにでもなるね…」

 エマも感心してベリィ先生を見ていた。

 今の一撃が勝敗を決めた。

 チャンピオンは雷撃の魔法を受けて黒焦げ、電波した雷撃で回りの小鬼達も黒焦げ。

「まぁ、こんなものでしょう」

 ベリィ先生は2丁の銃を腰のホルスターに戻す。


 やっぱり、スゲェな…


「もう、小鬼は来ないでしょう。2人ともお疲れ様でした。村に戻りましょう」


 先生の判断で村に戻る俺達。

 戻った頃には日も落ちていた。

 滞在先の村長の家ではすでに食事、そこそこのご馳走が用意されていた。俺達が問題を解決してくると確信していたんだろう。

 村人達も集まり宴会の体をなしてきた。

 賑やかで楽しい食事の席。現実の世界ではなかなか味わえなかったことだなぁ…

 エマは嬉しそうに、子供達に自分達の活躍を話す。話が上手いのか、子供達が目をキラキラさせながら聞いているのが分かる。


 宴もたけなわ。

 お風呂まで頂いた俺達は寝る前にベリィ先生に呼ばれる。


「寝る前にごめんなさいね」

 ベリィ先生は書類の整理をしていた様だ。

「レンヤ。貴方は私の銃について知っていましたね?」

「え?ま、まぁ。噂に聞いていて俺も使ってみたいなぁ…なんて思ってましたから」

 頭を掻きながら答える俺。

「エマはどうですか?」

「はい!すごい武器だと思います。でも、わたしにはフィリー先生から頂いたギミックウエポンがあるから、それで精一杯ですし、他の武器に乗り換える気はありません!」

 きっぱりと自分の意見を言うエマ。

 それを聞いた先生は頷き、テーブルの上に2丁の銃を置く。

「レンヤ。使ってみますか?」

「はい!」

 俺、即答。

「よろしい。では、この2つを使いなさい。使い方は帰りの道すがら教えましょう」

 俺は2丁の銃を手に取る。

 ずしりと、思った以上に重量を感じた。


 そう、この銃こそが、俺がゲームの中で導きだした『最強ビルド』になるんだ!


ー銃マスタリースキルを習得しましたー

ー魔導銃マスタリースキルを習得しましたー


 ベリィの部屋を出てあてがわれた部屋に戻る俺達。

「レンヤくん!よかったね!」

「ああ!」

「わたしはギミックウエポンで。レンヤくんは銃で最強を目指すんだね!」

「そういうことだな」

 俺はエマに満面の笑みを贈った。


 こうして、俺達のはじめてのクエストは大成功に終わった。

 エマとの関係も良好だし、何より欲しかった銃と魔導銃を手に入れる事が出来たからな!


 さて!これから忙しくなるぞ!

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