絶望の果て
今回は徹底的に絶望を味わされてしまう回です。
今のところ異世界感がほとんど無い気もしますが気にしないようにしましょう!
「うぅ....」
二度目の死からの目覚め
気持ちが悪い...疲労感と精神的苦痛でおかしくなりそうだ
「うひょひょひょひょ」
奇怪な叫び声が目覚まし時計のように頭に響いてくる
ドレイクだ
彼は目を丸くしてまるで世紀の大発見でもしたかのようにはしゃいでいる
ジャラジャラガシャン
状況を理解しようとしていた間に両手足を鎖で拘束されてしまった
まだこの時の彼女にはなぜ拘束がされてなかったのかわからなかった
そのため、逃げるという選択肢が無く拘束から逃れることを考えていた
「ヒヒヒヒ」
ドレイクは笑みを浮かべながら撫でるようにサーシャの顔を触る
「そなたの身体はとても興味深いよ」
そうしてドレイクは誇らしげに何が起きていたのか語る
まずサーシャが死んで約24時間経ったこと
そしてその間死体は残っていたこと
その後死体が消えると共に光の粒子のようなものが集まり身体を形成、蘇生されること
身体の傷だけでなく衣服も元通りになること
予想としては召喚時の状態で蘇るだろうとのことだ
残念ながら習得したスキルはサーシャ本人にしかわからないらしいがそんなことは大した問題ではないと一蹴り
ドレイクの力説によりサーシャも自身の能力について知識を得ることができた
「さて次はどんな死に方をしたい?」
ドレイクが振り向き不敵な笑みを浮かべる
そして返答を待たず注射を刺す
毒だ
それもとびっきり強力な
すぐに刺した場所が紫色に変色し汗が止まらなくなる
やがて嘔吐するようになる
苦しい
嫌...
死にたくない....
声にならない悲鳴をあげるサーシャ
「ぃ....ぁ.....」
身体中から紫色の血が溢れ出しグッタリと倒れる
スキル、毒耐性を獲得
「ぅ....」
毎回死からの目覚め時は意識が朦朧とし体も重い
その隙のせいで拘束する時間を与えてしまう
意識が安定すると同時に死の瞬間の記憶も蘇ってくる
これは精神的ダメージが大きかった
本来生物には死が一度しか訪れず蘇ることもないのでその記憶を持つこともない
しかしサーシャはすでに3度も死の痛みと恐怖を体験し記憶として刻まれている
さらにこの状況から逃げられないという絶望
そして再び訪れるであろう死の恐怖
絶望がサーシャの心を蝕む
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
「ぃや!いやだ!!いやだ!!!助けて!ぉ願いします....」
「あぁ!かわいそうに!その涙、キレイに洗い流してあげよう!」
サーシャの必死の懇願も無視し
鎖で引き上げられ逆さ吊りにされる
慌てて捲れるスカートを押さえたあたりまだ心は壊れていなかったのだろう
その恥じらいもすぐに恐怖に塗りつぶされる
巨大な水槽が運び込まれその真上に固定される
何をされるかは明白だった
「ゃ...やめて!...何でもします...から」
「じゃあ、死んでくれ!!」
バシャバシャ
水中まで降ろされ必死にもがくサーシャ
息がもたない
死...ぬ....
そう思った瞬間上に引き上げられる
「げほっげほっ」
しかし一息つく間もなく再び水中に降ろされる
そんなことを何度も繰り返す
オモチャで遊ぶようにはしゃぎながら死のギリギリラインの反応を楽しんでいる
そんなことが何十回も続いた
「ありゃ死んじゃった」
ゲームで失敗したかのような軽いノリで終わる
サーシャは死んだ
スキル、体力上昇を獲得
「ぅぅ....」
目覚めると当たり前のように拘束されている
いつまで続くのだろう
変わらずドレイクが陽気な鼻歌を歌いながら次の準備を始めてる
この地獄の日々が一生続くかもしれない。心の隅でそう感じてしまっていた
以降も様々な残虐な方法で殺され続けた
そんな日々が続いた
「...ぁ....ぁ....」
約半年後サーシャは廃人と化していた
身体は正常でも精神は壊れまともに喋ることすらできない
瞳からも光が消えもはや魔物と戦えるような戦士には成りえなかった
やり過ぎたドレイクは罪を問われ処断されたらしい
そして役に立たぬと判断されたサーシャは貧民街の片隅に破棄された
これだけのリスクを払っても得たスキルのほとんどは身体能力向上などの地味なスキルばかりだった
こうしてサーシャの王宮での地獄生活は終わりを迎える
屍同然の状態で....
はい、ゲームだと完全にゲームオーバーですね。
始まったばかりなのにこの状態って...今後どうなっちゃうの!?って感じです。
それから後書きには毎回補足的なのを載せておきます。
〇ステータス向上系スキル
筋力上昇や体力上昇など様々なものが存在する
どのスキルにもレベルが存在します
ステータス向上系の場合はレベル1で対象の能力が倍になります
レベル2で3倍、レベル3で4倍といった具合です。