桃太郎の想い
「できるだけあんたとは関わりたくないんだけどさ、あんた制服どうした」
「制服とは?」
「先生何も言わんのね。あんた新しい種類のヤンキー目指してんの」
「女子、何の話をしてる?きび団子はもうないぞ」
(目がチカチカすんだよその服うぜーな)
「あんたのせいでケンシロウ登校拒否じゃん」
「ケンシロウ?力太郎のふりをしていたあの最低な奴のこと?」
「あんたがいじめたんじゃん」
「何!!あいつもきび団子がほしかったのか!」
桃太郎は急いで教室を飛び出した。
(やった!訳分からんこと言って早退した!)
凛子は喜んだ。
「あれ!凛子、桃太郎君は?」
「走って早退したー」
「え!たくさんきび団子作ってきたのに・・」
くららは桃太郎の後を追うため教室を飛び出した。
「桃太郎君の運動神経すごいから私じゃ追いつけない・・・」
すると先の方にひとだかりができていた。
何?!
くららが駆け寄ると、
立て篭りの銀行強盗が桃太郎に締め上げられて出てくるところだった。
「桃太郎君!すごい!」
しかし、桃太郎は刀を持ち歩いていたので銃刀法違反で警察に連行された。
「英雄で犯罪者なんて・・・すき・・」
くららは連行される桃太郎をうっとり眺めた。
どうしてもこの恋を実らせたいくららだった。
「桃太郎君!!」
桃太郎よりも先にタクシーで警察署に先回りしていたくららが声をかけた。
「くららか!何だここは?」
「桃太郎君刀持ってたから捕まったんだよ・・」
「何だこれは」
桃太郎は手錠を見て言った。
「それは手が動かないように・・
くららが説明していると
バキバキ!!
!!?
「刀は手放そう!しかし今からケンシロウにきび団子を持っていかなければならない。しかも作るところから始めるので時間がないんだ!用事があるなら後でケンシロウの家に来てくれ」
そう言って車の上をジャンプしながら桃太郎は一瞬で消えた。
警察は逆に怖すぎて誰も動かなかった。
「・・きびだんごなら私が持ってるのに・・」
くららは涙を流しながらまた追いかけた。
待ってろ!ケンシロウ!今からすぐ食べさせてやるからな!
桃太郎は走った。ひたむきに。