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力太郎


(超可愛い・・ブス・・超絶美人)


豹はお供の仲間の顔を順番に見た。


(!!!)

ゴリが豹の腕に絡みついてきた。


ゾワ!!

「・・何?」豹はとりあえずニコリとして尋ねた。


「豹あたしの事ずっと見てたから・・」


(ブスだなって一瞬見ただけだし)

「・・・だから何?」


「付き合ってやってもいーよ」


「!!!!」

(何言ってんのバカじゃねーの!!)


豹はスッと手を引いて離れた。


「照れてやんの」

ゴリはやれやれといった感じで呟いた。



(鬼ヶ島着いたら秒で生贄にしてやる)

豹は心に決めた。



「何か臭くない?豹ちゃんうんこもらした?」

ゴリが言う。


「そんなわけないでしょ(投げ飛ばしてやろうか)」

豹はイライラしながら応えた。


「この臭い・・」

犬嫁が言う。


後方からドタバタと誰かが走ってきた。


「おい待て!どこさ行くべ!!」



豹は振り向いたが強烈な臭いと田舎くさいそいつを見なかったことにした。


「タロちゃん!」

犬嫁が言うので豹は足を止めた。


(タロちゃん?)

豹はもう一度振り向いた。

(うわ服だっさ)


「おー犬!久しぶりだな!何処さ行くべ!」


「皆んなで鬼退治に行くよ!」


「皆んな?あ、キジ姉さんと、桃太郎の野郎と・・」

(!!!!)

「さ!!猿子ちゃん!!」


臭い男はゴリを見て顔を真っ赤にさせた。


「タロ、あんた相変わらず臭いね」

ゴリがブスのくせに上から目線で言う。


「ご・・ごめん!!」

男は焦って香水をつけた。


(え、香水ドルガバ?何であんな奴がドルガバ?)

豹は受け入れられなかった。


「あんたも鬼退治行こうっての?」

いい女ぶって前髪をかき上げながらまたゴリが仕切る。


「猿子ちゃんを危険な目には合わせられねーべ!」

男は張り切った。


この男が何者なのかも、なんだか甘酸っぱそうな男の恋の行方にも1ミリの興味もない豹はキジ姉さんと犬嫁に


「行こうか(爽やかな笑顔)」

と、告げてまた前に進んだ。


「おい!桃太郎!!オメェ何だか風変わりしてっけど猿子ちゃんに手ぇ出したらただじゃすまねぇべ!」


「・・・あのね、桃太郎じゃなくて僕は豹だし、猿とはお好きにどうぞ」


豹はどうでも良い感じでにっこり笑顔を張り付けて言った。


「私のために争わないで!本当に男ってバカなんだから!」

ゴリは言う。


「・・悪かったよごめん」

男はシュンとした。


(ゴリラのくせに生意気言ってんじゃねーよ)

豹は無言で愛想だけ返した。


「おい!オメェ何か食いもん持ってんだべ!くれ!」


「下品な人だな(臭いしダサいし)。あげるあげる。はいどーぞ」

豹は適当にきび団子を男へ渡した。


「これあげるんだから誰か知らないけど君は僕の奴隷だよ?」

豹は小さくマウントをとった。


「何言ってるべ!俺達ぁ昔っから腐れ縁だがダチじゃねーか!」


「(汚っい食べ方だな)・・誰?」


豹が聞くとキジ姉さんが地面から言った。

「この子は力太郎だよ」



(力太郎?!垢のくせに何きび団子食ってんの!キモい!)


豹はゾワゾワした。




「あそこに村があるね。寄って行こうか」

キジ姉さんが言った。


「はい!」

豹は美人なキジ姉さん(バランスはキモい)には素直に応えた。










放課後、くららは勇気を振り絞って桃太郎に一緒に帰ろうと誘った。


「ねぇ、さっき亜斗夢とケンカになったんでしょ?」

くららが心配そうに桃太郎に聞いた。


「亜斗夢?何だそれ。力太郎とはケンカしてないよ」


「そうなんだ(力太郎って誰だろう)」


「腹減ったな」


「あ、マックよる?(デートだ!)」





「こんなうめぇの食べたことないよ〜」

桃太郎はガツガツたいらげた。


注文の際、沢山頼んだ桃太郎は会計時、

「金?何だそれは」

と、難しい顔をした。もちろん桃太郎は〝金〝など知らない。


(あぁ、、桃太郎君ってヒモ体質なんだわ。私もっと頑張ってバイト増やそう)

くららは誓った。


「くららありがとな!」


口の周りをソースでべっとりさせた桃太郎は心からの笑顔を見せた。


(あぁ!桃太郎君大好き!)


「おかわり!」


このやりとりは少しの間続いた。




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