ゴリが仲間になった
「ほんとに何もないね」
「?うん」
豹は周りに何もないのでひたすら犬嫁の可愛い顔を見て歩いた。
「どこ行く!!」
木の上から声がかかった。
(!!逆光で顔がわからないけどやった!女の子だ!)
次に現れるのは猿かキジだと予測していた豹は猿も女の子だったことに心でガッツポーズした。
ーーースタ!
「何かいい匂いする!何か持ってる!」
少し乱暴に話す猿人間が豹達の前へ降りてきた。
(あぁ!!絶妙なブス!!残念!)
豹はブスには興味がないのでスタスタと「お構いなく」と歩みを進めたが
「待つね!鬼退治行くね!私もついてくから持ってる物よこすね!」
(・・ちっ、ブスは性格悪いって鉄板だな)
豹は舌打ちしつつも鬼がややこしそうならすぐにこいつを盾にしようと考えた。
「はい」(さっきうっかり落としたやつ)
と、豹は仮面の笑顔を貼り付け猿に(落ちた)きび団子を渡した。
「うンめぇ〜!!」
(・・ちっ!)
猿の言葉遣いにも少しイラっとした豹だがあまり関わらないでおこうと笑顔のまま進んだ。
「お前!変な顔だな!」
「え、うん・・・」
(おいゴリ!(猿)僕の可愛い嫁に何言ってんの)
イラっとしながらも進む豹であった。
(キジは美人でありますように)
昼食時ーーーー
「ひょ・・桃太郎君!」
「誰だ?」
「あ、くららだってば・・・」
(いやん冷たい!)
「くららか!」(ニコ)
(あぁ!笑った!嬉しい!)
「何だそんなじっと見て・・ほしいんか?」
桃太郎は自分が手掴みで食べていたベトベトのきび団子をくららへ向けた。
「え!違う・・」
「あげるよ!!」
桃太郎はくららがきび団子がほしいのだと思い、ベッッットベトのきび団子をクララへ手渡し、きび団子がねっとりと挟まった歯を見せて爽やかに笑った。
(間接キス!!!)
くららは顔を真っ赤にしてきび団子を持ったままその場から逃げた。
「?」
(うんこかな?)
桃太郎は走っていくくららを不思議そうに見た。
(え、きもい。引くわー)
隣で見ていた凛子は顔を引き攣らせた。
「・・ほしいんか?」
自分を見る凛子に気づいて桃太郎はまた手に張り付かせたきび団子を凛子へ見せた。
「いらねーわ!!」
凛子は溜息をつきながら廊下へと消えた。
(あいつも・・うんこか)
ダン!!!!
「きめーんだよ!!!!」
教室の後方で大きな音がしたので桃太郎はきび団子を口の中へ入れた後(そのままの汚い手で)騒ぎの渦中を除いた。
「お前がボリボリ掻いたから汚い粉が弁当に入っただろ!」
高校生にして全身古傷だらけでまるでボディービルダーのような肉体を持ち、サングラス剃り込みリーゼントの男子生徒〝亜斗夢〝がフケを撒き散らせる臭いオタク〝ケンシロウ〝へ因縁をつけていた。
「弁償しろやぁ!!!」
「・・そ、んな・・」
「だいたいなんでお前ぇみたいな野郎が〝ケンシロウ〝で俺がキラキラネームなんだよ!気に入らねぇ!!」
バン!!
「ひ!!」
亜斗夢はケンシロウに壁ドンした。
教室はピリピリした空気に包まれた。