桃から生まれた所は知らないよ
〜豹の場合〜
「・・え、誰?何?何で泣いてんの」
「桃太郎やぁ!どうしても行くと言うのか!」
見知らぬお爺さんが言う。
「・・・」
「勇敢な桃太郎や、鬼に喰われるでないぞぉ」
これまた見知らぬお婆さんが泣く。
「あ、僕のこと、桃太郎だと思ってます?だったら人違いですよ。僕は・・・」
「おぉ!これほど止めてもお前はどうしても行くのだね!」
「婆さんや、儂らがこれほどまでに止めても行くと言うのなら仕方がないの・・桃太郎、コレを持って行きなさい」
豹が良い終わるのを待たずに老夫婦は続ける。
「いえ、結構です。それってきび団子ですよね。渡す相手間違えて・・
「おぉ〜桃太郎よ!必ずや生きて帰るのじゃぞ!!」
またもや豹の言葉などは気かずにきび団子を押しつけて老夫婦は泣き崩れた。
(人の話聞けよ(イラッ))
「あの!僕!桃太郎とか言う名前じゃなくって!豹って言うキラキラネームの超現代っ子なんですけど!!」
老夫婦は一瞬きょとんとしたが何も聞かなかったかのようにまた泣きながら手ぬぐいを振って豹を送り出した。
豹は一刻も早くこの場を立ち去りたく、とりあえず老夫婦の視界から消えた。
「・・やってらんないよ。てかここどこ?(イラッ)」
豹はある日突然桃太郎の世界へとやって来た。
Twitterで愚痴ろうとしたが
「・・スマホないじゃん最悪」
豹はとりあえず自然しかない道を歩いた。
〜桃太郎の場合〜
「爺ちゃんと婆ちゃんか?」
桃太郎は豹の両親を見て言った。
「豹何言ってんの、殺すよ?」
18歳で豹を産んだ母親(現在34歳)は元ヤンだった。
「豹もついに反抗期かぁ」父親はにっこり笑った。
「オラは¨豹¨じゃなくて¨桃太郎¨だ」
桃太郎は主張した。
「桃太郎って名前が良かったのか。今日改名届出しておくよ」
父親はあっさり息子の名前を変えることを承諾。
「豹・・じゃなくて桃太郎!早く着替えて学校行きな」
母親が言った。
「学校?」
「あれ、あんたそんな顔だった?ま、いっか」
適当極まりない両親であった。
桃太郎は¨学校¨へ向かった。