風馬くんと珊瑚ちゃん
……エッチしたいなぁ。
授業中、不意にそう思った。
だけどまあ、今すぐするわけにはいかないから、とりあえず授業が終わるのを待つ。
あと10分くらいで終わる。
終わったら適当に誰か連れて人の居ないところに行こう。
そう思ってチラチラと教室を眺める。
その時、生草くんと目があったから、こいつでいいや。と私は思った。
授業終わりのチャイムが鳴る。
席を立ち生草くんの方を見ると、彼は何故か私を真っ直ぐに見ていた。
「黒月さん、少し良いかな?」
そう言って生草くんは私の返事も聞かずに教室を出て行く。
何の話かは分からないが、むしろ好都合だ。
そう思いながら、私は生草くんに続いて教室を出た。
生草くんは靴箱に向かうと、靴を履いて外に出た。
それにしても、いったいなんの話があるというのか。
そろそろ授業が始まってしまうだろうに。
サボりがちな私とは違い真面目な生草くんがそれを良しとするとはとても思えない。
「生草くん、授業始まるよ?」
「あ、うん……そう、だね」
言い淀む生草くんに連れて行かれたのは、部室棟と体育館の隙間。
ごちゃごちゃと道具の置かれたこの場所なら、外からは見えないだろう。
ここならセックスをするのに都合が良い。
ようやく立ち止まった生草くんは、もしかしたら私を犯すつもりでここに来たのだろうか?
それもまた、面白いかもしれない。
「ご、ごめんね黒月さん。こんなとこに連れてきて」
ようやくこちらを見た生草くんの顔は赤い。
風邪だろうか?
だとしたらセックスするのはツラいかもしれない。
生草くんは動くのもダルいだろうし、私としても風邪などひきたくはない。
「あの俺……黒月さんが好きなんだ!」
そう思った私の耳に飛び込んできたのは、随分と純真な想いだった。
「……え?」
言われたことのない言葉に、私の口は間抜けに開く。
「ごめん!急にこんなこと言って!……俺、入学式の時から黒月さんのことが気になっててそれで……」
純真な想いを口にする生草くんに、私の歪んだ欲は微笑みを浮かべる。
それならば利用してやれと囁く悪魔に頷いて、私は生草くんを押し倒した。
「えっ?あの……黒月、さん?」
赤い顔でオロオロする生草くんに微笑む。
「私も、生草くんが好き」
可愛らしく見える仕草でそう言って、生草くんの唇にキスをする。
すると、生草くんの顔は分かりやすいくらい真っ赤になった。
「嬉しいな……生草くんがそんな風に想っていてくれたなんて」
生草くんの首に手を回して、もう一度キスをする。
「生草くん?」
反応の無い生草くんに向けて小首を傾げると、生草くんはガバッと起き上がった。
「きゃあっ!?」
そうして私を放り投げて走り出す生草くん。
「な、なにあれ……?」
置いて行かれた私はポカンとその様子を眺めることしか出来なかった。




