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光くんとスミレちゃん


「すみませんスミレ」


突然部屋にやってきた光は、そう言って私に抱きついた。

まだ子どもの私では大人(それも男性)を支えきれるわけもなく、そのままの勢いでベッドに倒れる。

そんな私を見下ろすようにして光は寂しそうに笑った。

こんな光、初めて見た。

私は彼を兄のように慕っているし光だって私を本当の妹のように大事にしてくれている。

だから私がこんな風に彼の部屋を急に訪れることはあっても、彼が私にこんな風にすることは無い。


「私が怖くはないですか?」


心配そうに尋ねる光に首を傾げる。


なにが怖いんだろう?


大好きな光が抱き締めてくれているのに。

首を傾げた私の頭をそっと撫でる光は、なんだか元気がない。


「光どうしたの?」


そう言って光の頬にそっと触れると、光は何でもありませんよ。と言って悲しそうに微笑んだ。

そんな光の顔、見たくない。


「光、大丈夫?元気ないの?」


何か心配事があるのかもしれない。


「なにかあったの?」


子どもの私では頼りないのかもしれないけれど、それでも話せば楽になるかもしれない。


「なんでもありません」


ぎゅっと私を抱きしめて、光は言う。


「ただ……今日は一緒に寝ても良いですか?」


そう尋ねた光に、もちろんと頷く。


「怖い夢を見たの?」

「そうですね……私が怖い人になる夢を見ました」

「怖い人?」


「スミレを狼のように襲う夢です」


すみませんスミレ。と光は言う。

ああ、だから彼はこんなに謝っていたんだと私は思う。

ただの夢なのに、なんて律儀な人なんだろう。


「大丈夫。ただの夢だよ」


そう言って私は光の頭を撫でてあげた。


「だけど、本当に狼になってしまうかもしれない」


光はそんな非現実的なことを言いながら私におとなしく撫でられている。

私はクスクス笑って、大丈夫だよ。と光の頭を撫でた。

それに、と言うと光は顔を上げる。


「光みたいな狼さんなら怖くないよ」


そう言ってにっこり笑うと、光は小さく微笑んだ。


「さっきの言葉、忘れないでくださいね」


そう言った光からは、寂しそうな顔が消えていた。





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