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来襲。

ふとした拍子に目を覚まし、目を開ける。目を開くと、日がかなり高い所まで昇っていた。


太陽の眩しさに顔をしかめると、光が目に入らないように、手で顔を隠す。


「……寝すぎたな、太陽がもうあんな高くまで昇ってるし」


立ち上がりながら腕を回す。腕を回すと、回した腕から音が鳴り、嫌でも疲れが溜まっているのが理解できた。


「最近はゆっくりと休めてないからなぁ……疲労骨折とか起こらないことを祈ろう。というかここに来た目的はここを中継して人間の国に潜り込む為だったわ……ここでも長くは休めそうにないなぁ」


少し憂鬱感を感じながら、雛を起こそうと近付こうとした途端、門の方から何かをへし折るような音が聞こえた。


「……起こすのは後だな、白焔を起こして守っててもらおう」


雛に向けた手を白焔の腹に当て、そのまま揺する。暫く揺すっていると、白焔が身を捩り、そのままいつものように四つの脚で地面を踏み締めた。


「……なんじゃい、儂を起こしたということはなにかあったのか?」


「あぁ、お前が寝ている間に目的地であるソレイユには着いたんだけど、ちょっと様子がおかしい。雛も気持ちよく寝ているし、起こす訳にはいかない。だからずっと寝てて疲れも取れてるお前を起こして守っててもらおうと思ったんだ」


「なるほど、心得た。だが無理はするでないぞ、主は何度も要らぬ心配を雛にかけていることを忘れるな」


「わかってる、じゃあ頼むぞ!」


そう言い会話を終えると、自分の剣を掴み走り出した。


──────────────────────


「確かに木造の門だったけどさぁ……一撃でこんなバキバキになりますかね、普通」


門の前に着くと、あまりの光景に足を止めてしまった。木の門の大部分が吹き飛んでいる。まるで何かが殴り飛ばしたかのように。


「木とはいえなー……魔物か? 人間が出来る訳ないし、こんな芸当。まぁ決めるには早計なんだろうけども」


そう言った途端、何かが勢いよく飛んで来た。その何かを確認すると、足に力を入れ、ブーツに魔力を長して刃を地面に突き刺し固定する。


その状態で受け止めること自体には何ら問題はなかったのだが、勢いが強く、少し体勢を崩しそうになりながらなんとか受け止められた。


「……痛ってぇ、何がどうなって……おい、大丈夫か!?」


「ぁ……? あぁ、あんた……逃げ……ろ……あれは……やべぇ……」


吹き飛んできた男を見ると、両足がもう二度と立てない程に粉砕されており、腹部からも夥しい量の血を流していた。


「待ってろ、今止血を……」


「無駄だ……血を流し過ぎた……今も意識が朦朧として……やがんだ。ごふっ!……長くない、だろうさ。それは、他のやつの為に……とっておけ……」


男の瞳はどこか遠くを見ており、その目からは光が消えかけている。どう見ても手遅れだった。


「……分かった。でも、もう少し耐えられたら……」


「ごぶっ!……ははっ……そいつは……無理だ……もう、迎えが……」


口から血を吐きながらそう言うと、それ以上一言も発することもなく、瞼を閉じた。


「……ここまでのダメージを与えるなんて。気を引き締めないと」


男の亡骸を半壊した家屋の影に隠そうと思い、持ち上げようとしたが全く持ち上がる気配がなかった。その為、非常に申し訳ないが引き摺りながら運んでいった。


そこに亡骸を隠し終え、見えないことを確認すると、男が飛んできた方向に走り出した。


──────────────────────


「やれやれ、何度言っても聞かぬ童だ……あやつはまた無茶して帰ってくるだろうよ」


大きな音が響く方向に目を向ける。余程激しく争っているのだろう。龍人がここまで苦戦しているとなると、非常に強力な魔物か、あるいは……


「ぬうっ!?」


考え込んでいた所に突然殺気を感じ、雛の袖を咥えて飛び退いた。飛び退いた所を見ると、肌が紫色に染まった人間が、足を丁度儂の頭があった部分を踏み抜いていた。


「なんという……お主、儂らはここで何が起きているか知りたいだけなのだが……」


「ヴ、ガァァ……」


「……言葉すら介せぬか。雛、起きよ」


目の前の敵が所謂狂戦士だと言うことを確信してから雛を揺すり、起こす。雛は多少身動ぎした後、目を開けた。


「ふぁぁぁ……どうしました?」


「寝ていた所を起こしてすまんな……敵が来たぞ」


「敵ですかー……えっ、敵!?


完全に目が覚めたのか、近くにあった刃に皹が入った薙刀を手に取り、構えた。


「まぁ待て、お主は光牙の方に向かってくれ。こやつは儂一人で十分じゃ」


「でも白焔さん、怪我はまだ……!」


「治りきっておらんな。それはお主も光牙も同じだろう。手負いだからと言ってこやつ程度、倒せぬ訳ではないわ。先に行け」


「……分かりました」


そう言い、走り出した雛を見送る。


「とは言ったものの……勝てるかのぉ……」


あの馬鹿力を思いだし、一瞬こちらから仕掛けるべきか迷ったものの、すぐに紫色の化け物に牙を突き立てようと駆け出した。









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